都議会で「セクハラヤジ」を受けたことを機に、すっかり時の人となった塩村文夏都議(35)。ヤジを飛ばした自民党の鈴木章浩都議(51)が謝罪した後も騒動は収束せず、塩村都議の周辺は相変わらず騒がしい。
そうした中、アート集団「カイカイキキ」の代表を務める現代美術家の村上隆氏(52)が塩村都議と「思われる」女性を表現したポートレート作品を制作し、インターネット上で議論を巻き起こしている。
ドット重ねて構成した「塩村都議風」ポートレート
作品は2014年6月26日、サブカルチャーの殿堂こと「中野ブロードウェイ」(東京都中野区)の中にあるカフェ「Bar Zingaro(バー・ジンガロ)」に展示された。
同店は村上隆氏がプロデュースするカフェで、普段は壁に村上氏の代名詞とも言える花をモチーフにした作品3点が飾られている。その両脇に加わった新作2点も同じく花のイラストがベースになっているのだが、中央にはそれぞれドット(点)を重ねて表現した塩村都議と思われる女性の姿がある。
1つは東京都議会で一般質問に立った際、もう1つは鈴木都議から謝罪を受けた日のものとみられる。
作品は村上氏自身が26日に「Instagram(インスタグラム)」で説明を付けずに公開した。一部サイトも記事で紹介したことからインターネット上ですぐに注目を集めた。
27日昼ごろ、記者もカフェを訪れてみた。作品はバーカウンターの横と店内奥のソファ席の横にあり、中央3作品に比べてサイズは小さいが一際目を引く。すでにいた客たちはそれほど気にとめていないようだったが、入店するなり写真を撮る外国人男性もいた。
カイカイキキの担当者に話を聞いたところ、作品の展示は26日朝に急きょ決まったという。「特に塩村都議とも明言せず、ただ作ったから展示してくれ、と。我々にも全く説明がないので正直困惑していますよ」と苦笑する。
過去に時事ネタ作品でアクションを起こしたことも
村上氏がいつから着手していたかも不明だというが、ヤジが問題になってから1週間程度しか経っておらず、これほどスピーディーに仕上げることは異例という。また、時事ネタを扱った作品という意味でも珍しいそうだ。
村上氏は過去に、元俳優の加勢大周の芸名騒動を皮肉った「加勢大周宇プロジェクト」をプロデュースしたことがあった。2010年には松山せいじさんのマンガ作品「奥サマは小学生」が青少年健全育成条例改正を巡る論議の中で名指しされたことをきっかけに、米歌手のブリトニー・スピアーズさんがスクール水着にランドセルを背負うという驚きのパロディビジュアルを発表していた。
担当者は今作についても「何らかの意図があるとは思う」と話す。
インターネット上では作品の意図についてはさまざまな意見が飛び交い、
「作品とタイミングが合うと、こうやっていろいろみんなが意味とかなんとか考えたりして盛り上がるアート、みたいな気もする」
「トレードマークの花模様を背景とした彼女のイコンにより、日本の前近代的慣習に抗う点での彼女との共闘を表明し、現代美術の側から外圧を呼び込もうとしているのではないか」
「塩村議員のこと『美しい』ってつぶやいていたし、案外それ以上の理由ないのかも」
といった声が次々と投稿されている。
「Twitter民の皆が騒いでくれております」
同時に賛否の声も高まり、「現代美術の最先端キタ!」「さすが村上隆!!俺たちに出来ないことを平気でやる!」「このスピードで自分の道具で自分の場所で発表。すごいと思った」という好意的な感想もあれば、「『面白い』に入るんですか?批評性を超えてただサムくないですか…?」「これは…ひどい。こんなのアートじゃない。もうこの人だめだな」「完全に二次被害」などと辛らつな感想も寄せられている。
当の村上氏は騒動を受け、27日に「僕の小品を本日中野のカフェに展示しました。その事で、Twitter民の皆が騒いでくれております。そもそも村上の事、Twitter民の皆さんはなんと思ってるんでしょうかねぇ?」とツイート。その後のツイートでは作品そのものへの具体的な言及をしないかわりに、「現代美術作家」という立ち位置や、自身の作家としてのステートメントなどについて語っていた。