度を超えたメディアの「過大すぎる期待」 ソチ五輪の轍を踏んだW杯報道

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評論家諸氏は正しい情報を伝えなかった

   今回の日本代表の実力は成績通りなのだろう。ただ、周囲のあおり方が尋常ではなかった。とりわけマスメディアの「過大すぎる期待報道」は度を超えていた。多くのサッカーOBがテレビなどで「強い」「勝てる」と連呼しまくった。

   日本代表の力を伝えることはほとんどなかった。そういう専門家の見方はファンにさらなる多大な期待感を与える。つまり評論家諸氏は、正しい情報を伝えなかったことになる。専門家とファンの区別がつけられない評論家ばかりだったということなのだろう。

   先の冬季五輪でも同じ状況だった。試合に臨む前から「金メダルだ」を騒ぐ。女子フィギュアスケートで浅田真央が6位に終わったことなどなかったような伝え方をしている。世界大会は、勝負するところである、ということが抜けているのはいかがなものか。

   日本はグループリーグでは、1998年フランスで3戦全敗、2002年日韓大会は2勝1分け、06年ドイツ大会は1分け2敗、10年南アフリカ大会は2勝1敗。そして今回のブラジル大会となる。1大会ごとに結果が上下している。安定した成績が保てないのだ。やってみなければ分からない、ということになる。

   サッカーのW杯はチーム編成が難しい。4年に1度の大会だけにメンバーを最初から固定できない。そのうえ海外でプレーする選手が時によって加わる。どの競技でも日本の選手は子供の頃から全員そろって練習、合宿することが習慣になっている。

「全員そろっての練習時間が少なかった」

   ザッケローニ監督の口から漏れた一言は、次の大会に臨む日本のヒントになるはずだ。聞くところによると、ザッケローニ監督は自分の考えた戦法、戦術を教えきることができなかったという。おそらく全員練習のことだろう。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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