米国テスラはなぜEV特許を公開したのか 「本当の競争相手はガソリン車」と割り切る

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給油所にもっと充電器を

   一方、国内でもEV普及を進めようと新たな動きが出ている。

   トヨタ、日産自動車、ホンダ、三菱自動車の4社が5月末、EV向け充電インフラ整備会社「日本充電サービス」を設立した。国内では官民挙げてEV普及を目指してきたが現状は乗用車全体の1%未満のシェアに過ぎず、業界には「走行中に充電できる場所が少なく、乗ることそのものへの不安がEV普及を妨げている」との思いが根強い。

   政府は充電器設置への補助制度を整えているが、設置数は今年3月までに急速充電器2000基、普通充電器3000基と目標を大きく下回っている。「給油所が3万6000あるのに対し、十分な数とは言えない」(自動車大手幹部)ため、政府補助に加えてメーカー自らが新会社を設立して設置費用を一部負担し、年内に急速4000基、普通8000基の新設を目指すことにした。

   日本メーカーには国内普及率を上げることで、EVの開発や低コスト化などにつなげたいとの思惑がある。なぜなら世界一の自動車市場・中国は環境問題の深刻化やガソリン需要の増大懸念からEV市場が急成長すると予測されているためだ。ガソリン車の次を担う次世代自動車でも世界をリードしたい日本メーカーにとって中国の動向は無視できなくなっている。

   ただ、ライバルの外国車メーカーもEV開発を進め、積極的に日本市場に投入し始めている。官民でインフラ整備に取り組み、現時点でも充電器の普及数は日本が圧倒的な世界一。海外から見れば普及に向けた素地が最も整っている。それでもEVが「期待したほど売れない」(関係筋)のは、そもそも車としての魅力に欠けているからかもしれない。技術で世界をリードしてきた日本メーカーだけに、EVの弱点をどう克服していくかが注目される。

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