朝鮮戦争が休戦に近付いた1950年代前半から70年代以降まで韓国版の性奴隷制度「米軍慰安婦」が存在し、国家暴力によって女性の人権を奪われたとして2014年6月25日、米軍慰安婦だったという122人の女性が韓国政府を相手取り、謝罪と賠償を求める訴訟を起こした。
この米軍慰安婦問題は日本では度々報道されてきたが、韓国では「捏造」との反発が強かった。今回、このニュースは韓国内で大きく報じられたが、衝撃が強すぎたのか、ネットの掲示板などに感想を寄せる人は少なく、妙な静けさが広がっている。
米軍人相手の売春を「愛国」だとして教育
韓国の大手新聞、中央日報などの報道によれば、韓国の「基地村女性人権連帯」などの女性団体連合がソウル市内で記者会見を開き、韓国政府に対して「基地村」の米軍慰安婦制度の被害者に謝罪し賠償しなければならない、と訴えた。女性団体によると、政府は米国との関係を良くするため女性を性奴隷にしようと考えた。そうした女性には10代の娘もいて、人身売買や拉致によって「基地村」に連行され、暴力によって強制的に米軍人の相手をさせられた。彼女たちは警察に助けを求めたが相手にされず、ただ外貨稼ぎに利用され、米軍人相手に売春することが「愛国」であるといった教育までされた、という内容だ。政府による謝罪と一人当たり日本円で100万円の賠償を求めている。
この韓国政府による「強制的な管理売春」は日本でも度々問題にされてきた。朝日新聞(02年2月24日付)は、韓国の陸軍本部が1956年に編さんした公文書「後方戦史(人事編)」に「固定式慰安所-特殊慰安隊」の記述があり、4か所、89人の慰安婦が52年だけで20万4560回の慰安を行った、との記述があるという韓国の慶南大客員教授の発言を掲載している。最近では「週刊新潮」(13年11月28日号)は「朴槿惠大統領の父は『米軍慰安婦』管理者だった」という特集を組み、韓国は売春禁止なのだが「基地村」では売春が政府公認されていて、そこで働く女性は拉致されたケースもあり、彼女たちは一人ずつドラム缶に押し込まれ「補給品」名目でトラックに積まれた、などと書いている。