官邸を意識せざるを得なくなった
それでも、国会や骨太が終わると、仕事が終わったように官僚は感じる。残るは、人事である。どこの組織でも同じだが、人事は勤め人の一大関心事だ。
この季節になると、何人か集まると人事話になるが、今年は少し様子が違う。今年(2014年)の国会で成立した国家公務員改革法で、内閣人事局が設置され、そこで、審議官級以上の600人程度の人事が、官邸主導で一括管理されることになったからだ。もちろん600人の一人一人まで口を挟むことはないが、人事権を握られているという重苦しい雰囲気がある。
特に、内閣人事局の初代局長に官僚出身者がなると、新聞報道されていたが、菅義偉官房長官があっさり覆した。菅官房長官は、「政治主導といったでしょ」と涼しい顔だ。これで、霞が関官僚は、官邸を意識せざるを得なくなった。骨太などにあれだけ「霞ヶ関事項」が盛り込まれたのも、「仕事をした」というアピールに他ならない。
実は、人事は内々定しているが、口外して新聞報道されたら差し替えになるので、みんなしゃべらない。マスコミはこの時期、人事報道をしたいがなかなか難しいわけだ。
そうこうしているうちに、夏休みになる。人事の希望が叶った人もそうでない人も、ここで一休み。休み明けから、新体制で概算要求に奔走で、また動き出す。霞ヶ関の年中行事の一コマだ。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。