高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
「官僚人事の季節」今夏の異変 政治主導で「重苦しい雰囲気」漂う

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   第186回国会(常会)が6月22日(2014年)に終了した。なんだかんだといっても、霞ヶ関官僚にとって、国会対応は大きな仕事である。かつては、某大臣が「この件は重要なので、政府委員(官僚)に答弁させます」と言ったことがあるが、幹部官僚にとって国会答弁は、上司である大臣の前で公式発言するわけで、それなりの緊張感がある。

   政府委員は、かつては広く課長級まで対象だったが、最近では局長級に限定されているようだ。国会対応事務は、答弁者だけでない、国会待機、答弁を書く課長補佐など広く動員される。

くだらない施策は「ガラクタ・コーナー」に書く

   ただ、この仕事はかなり定型的だ。国会待機は文字通り質問通告を待っていればいい。よく国会待機が大変だというが、筆者の場合は、管理職になる前も入省直後を除きほとんどやったことがない。「質問が入ったら、連絡してくれ」と言い残して、役所にはいなかった。答弁を書くのも楽だ。国会では重要なことを話さないから、答弁は水みたいなものと、先輩から教えてもらった。国会では議論にならないような、差し障りのない答弁を書くのが、官僚の仕事なのだ。

   国会と平行して、政府の各種審議会の報告書も、官僚にとって重要な仕事だ。例えば骨太方針。これに、いかに官僚にとってポイントになる(つまり、予算獲得できる)項目を入れられるかどうかは、その後の出世にも関わる。

   筆者は、官僚時代に経済財政諮問会議特命室(これは当時小泉政権の竹中平蔵大臣が作ったもので、今はない)にいて、各省から骨太に入れてくれと多数の陳情を受けた。はっきり言ってくだらないものが多かったが、それを入れないと官僚人生に関わると言われて、多くは書いた。ただ、それらは、「ガラクタ・コーナー」と内々で呼んでいた所に入れた。

   今年の骨太(と同時にでる骨太「別冊」になっている成長戦略と規制改革実施計画)は、中には岩盤規制のように良いものもあるが、「ガラクタ・コーナー」行きのものも少なくない。でも、霞ヶ関をその気にさせて、安倍政権もなかなか手の込んだことをしている。

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