厚労省は包括指定導入、事故罰則も強化
脱法ハーブは「お香」や「アロマ」などとして繁華街やインターネット上で販売されている。厚生労働省の調べによれば、店頭やインターネットで脱法ドラッグを販売している業者は全国で240(13年9月末時点、都道府県報告)という。29都道府県で389業者とされていた12年3月末の数字からは減っているが、それでもかなりの数字だ。加えて自動販売機で販売するケースもある。
国はこうした現状を重く受け止め、対策に本腰を入れている。13年には厚生労働省が成分の似た薬物をまとめて禁止する包括指定を導入。これまでは一つ一つ規制していたため、業者が指定対象の成分をわずかに変えて脱法ハーブを売る「イタチごっこ」が続いていたが、包括指定により取り締まりを強化した。
4月からは法律も改正し、指定薬物の製造や販売だけでなく、新たに所持や使用、購入、譲り受けも禁止した。
事故を起こした人への罰則も強化している。14年5月には自動車運転死傷行為処罰法が施行され、飲酒や薬物などの影響による悪質な運転で事故を起こした場合の罰則が重くなった。交通事故で人を死傷させた場合、従来ならば危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)か自動車運転過失致死傷罪(最高刑懲役7年)のいずれかが適用されたが、前者の「正常な運転が困難な状態」という適用要件の立証は難しく、適用されないケースが多かった。
新法では「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」という適用要件の罪が設けられ、最高刑は懲役15年としている。また新たに設けられた「発覚免脱罪」は、薬や薬物の影響で事故を起こした場合に発覚を免れようと逃走した場合などに適用される罪で、最高刑は懲役12年だ。
「脱法ハーブ」という名前からか、使用者の間に広がる認識の甘さが指摘される中、罰則強化の効果に期待がかかる。