東京・池袋駅前の繁華街で車が歩道に突っ込み、歩行者が次々とはねられる悲惨な事故が2014年6月24日夜に起きた。報道によると、現行犯逮捕された自称・飲食店経営者の名倉佳司容疑者(37)は「運転前に脱法ハーブを吸った」と供述している。
「脱法ハーブ」の蔓延に伴い、ハーブを吸った運転手が起こす事故も各地で目立つようになってきている。
たった1年で約2倍に急増
麻薬や覚せい剤などの違法薬物によく似た成分を植物片に吹き付けたり、混ぜたりしたものは「脱法ハーブ」「合法ハーブ」などと称され、2009年ごろから日本国内で広がり始めた。吸引すれば違法薬物と同様に幻覚や興奮を覚えるが、意識障害や呼吸困難などを起こして救急車で運ばれる事例は後を絶たない。死亡例も報告されている。
他人に危害が及ぶような犯罪を引き起こすこともある。特に、車で暴走する今回のようなケースは全国で急増している。
2012年5月には大阪市で乗用車が商店街を暴走し、女性がひき逃げされる事故があった。報道によると運転していた男は脱法ドラッグを吸引していて、危険運転致傷罪で起訴された。大阪地裁は正常な運転ができなくなることを認識していたとして、男に有罪判決を言い渡した。脱法ハーブ吸引に起因して危険運転致傷罪が適用された全国初の事故となった。
14年2月には福岡市の交差点で暴走した乗用車が周囲の車に次々と衝突する事故が起きた。幸い死亡者はでなかったが、10台ほどの車に絡んで男女15人が負傷した。運転していた男(36)は「脱法ハーブを吸った」と警察官に話したと報じられている。
その多さは検挙状況をみても一目瞭然だ。警察庁のまとめによると、脱法ドラッグ(ハーブを含む)を使用した後に交通事故を起こしたとみられる事故の検挙は2011年は0件だったのが、12年には19件19人に、13年には38件40人にものぼっているというのだ。