「人手不足の状態はオリンピック後も続く」?
若者労働者の減少、就業者の高齢化が進むなか、2012年からは団塊の世代が65歳を迎えており、退職者の増加によって将来にわたって働き手が不足する懸念も強い。
人手不足の現状を、2020年の東京オリンピックまでとみている建設業者も少なくないが、建設経済研究所の角南国隆研究理事は、流通情報誌「月刊 激流」(2014年7月号)で「人手不足の状態はオリンピック後も続く」と指摘する。
技能労働者、つまり職人の世界は「10年で一人前」とされる。そのため、外国人労働者の受け入れでは間に合わず、「不足する技能労働者を補うには国内の若者に頼るほかはないのに、建設業の若者の就労者は少ない。それぞれの企業が人材を確保・育成しなければ、仕事が回らず、黒字倒産もあり得る」(角南研究理事)というほどの事態なのだ。
建設業の人手不足は、厚生労働省の2014年5月の労働経済動向の四半期調査でも明らか。それによると、建設業の正社員が「不足している」と答えた事業所の割合から「過剰」を引いた労働者過不足判断DIはプラス30だった。前回調査(2月)からは14ポイント下がったとはいえ、業種別では医療・福祉がプラス43、生活関連サービス業・娯楽業がプラス42とともに、採用しにくい状況が続いている。