小型ペット型ロボットのブームが終了してから鳴りを潜めていた「家庭用ロボット」が、再び脚光を浴びている。
ソフトバンクが人間の感情を読み取ってコミュニケーションをする人型ロボットを発表したほか、玩具メーカーなども新製品を次々に投入する予定だ。
「ロボットによる『新たな産業革命』」
家庭用ロボットといえば、かつてはソニーが挑んだ分野だった。1999年に発売した犬型ロボット「AIBO」シリーズは世界で15万台以上を売り上げたが、エレクトロニクス事業の不振のあおりを受けて、ロボット事業から撤退。人型ロボット「QRIO(キュリオ)」の新規開発も終了した。
その後2000年にホンダが世界初の本格的二足歩行ロボットとして「ASIMO」を発表するなど、ロボット自体の研究開発は進んでいたものの、家庭での実用段階ではなく企業広報用に利用される機会が多かった。いつの間にか日本で盛り上がったロボットブームは下火になっていた。
しかし最近また、実用を目的としたロボットが盛り上がりつつある。安倍晋三首相は2014年5月にパリで開かれた経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会で、「ロボットによる『新たな産業革命』を起こす」という宣言をしており、新たな成長戦略のひとつになる見込みだ。
たとえば6月5日、ソフトバンクが人型ロボット「pepper(ペッパー)」を発表した。ロボット事業への本格参入だ。人間の感情を認識して会話もできるロボットで、家庭でのコミュニケーションに重きを置いている。孫正義社長は会見で、
「我々が目指しているのは、パーソナルロボットとして家族の喜びのために動く、人の喜びのために動く、自らが意識をもって自らの意思で人々に幸せになってもらいたい、そういうような思いで動くロボットであります」
と力説した。
価格は人間型ロボットとしては割安な19万8000円で、「なかなか利益は出ません。もっとそれ以上にコストはかかっている」と言い、将来的には量産によるコストダウンを見込んでいる。