無料通話アプリ「LINE」の通信内容を韓国当局が傍受していたとされる問題の余波が、永田町にも広がりつつある。自民党の片山さつき参院議員が関係省庁に対して事実関係の究明を求める考えを明らかにし、総務省などは対応に追われることになりそうだ。
情報誌「ファクタ」が報じた事実関係についてLINE側は事実無根だと主張しているが、ファクタ側は反論の文章をブログに掲載し、「掲載した記事は確証があるとお考えください」と主張している。
「最高レベルの暗号技術」が「破られているというのが本誌の認識」
この問題は「ファクタ」が2014年6月19日に報じ、同日中にLINEの森川亮社長がブログで、
「国際基準を満たした最高レベルの暗号技術を使って通信されていますので、記事に書かれている傍受は実行上不可能です」
と反論していた。
ファクタ編集部も同日夜に、ブログで再反論。LINE側が傍受を否定する根拠としている「最高レベルの暗号技術」が「破られているというのが本誌の認識」だと主張した。また、LINEがファクタに対して抗議する方針を示していることについては、
「もし抗議するなら、LINEは国情院に対して傍受に抗議すべきでしょう」
とした。だが、LINEは傍受されていないという立場をとっている。その上、仮に傍受されていたとしてもその事実をLINE側が確認できるかは不明なため、LINEが韓国側に抗議することはありえないと思われる。
いずれにしても、ファクタ、LINEともに「傍受されている」「傍受されない仕組みになっている」といった主張の根拠が必ずしも詳しく説明されていないため、第三者からは判断材料を欠く状態になっている。
「事実関係究明、対応策について、明日関係部局から話を聞き、動きます!」
そんな中、永田町で事実関係の解明を求める声が上がっている。自民党の片山さつき参院議員は19日夜、
「韓国情報院によるLINE盗聴・疑惑について、事実関係究明、対応策について、明日関係部局から話を聞き、動きます!」
とツイートし、LINE問題を追及する姿勢を示した。
片山氏は12年には、有名お笑い芸人の母親が生活保護を受給しているという週刊誌の報道をツイッターで取り上げ、これをきっかけに生活保護の不正受給問題を追及したという経緯がある。今回も、片山氏の働きかけをきっかけにLINEをめぐる情報セキュリティーの問題がクローズアップされる可能性もある。