日ハムとの間に「オプション」ある?
日本担当の大リーグ球団スカウトからこんな声が聞こえてくる。
「魅力いっぱいのピッチャーだ。すぐ欲しい、というのが現在の感想といえる。将来、間違いなく大リーグのマウンドに立っているだろう」
大リーグにとって今や日本球界の投手は人材の宝庫。ダルビッシュ有に続いて田中将大が活躍しており、使えることは実証されている。現在、広島の前田健太、オリックスの金子千尋らが大リーグ行きを取りざたされているが、大谷の素質には大リーグ関係者が五重丸をつけるほどだ。
大谷は元々、高校卒業のとき、大リーグ挑戦をする予定だった。だからドラフト会議で日本ハムに1位指名を受けても大喜びしなかったし、気持ちが変わるのに時間がかかった。ほんの1年半ほど前の出来事である。
想像するに、大谷と日本ハムの間には、時期を見て大リーグ行き、とのオプションがあるのではないか。日本ハム在籍年数に加え、大リーグ移籍は大谷にオプションがある、というような。
大物新人を獲得するとき、そのようなオプションをつけてプロ入りした選手がいる、と聞いたことがある。後からそれを知った監督が驚いた、とも。「日本のプロと大リーグはセット」と考えている若い選手は多く、野球を職業にする以上、実力のある選手なら当然の条件、権利と考えている。
大谷はつい最近「投手専念」を首脳陣に求められ、打撃練習を控えているという。「160キロの大谷」で本格活動というわけである。常時160キロ超は夢でなく、数年後には、田中とはやや対照的な力で勝てる投手に大化けしている可能性を秘めている。そして太平洋を越えて行くのだろう。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)