サッカーワールドカップ(W杯)ブラジル大会で、日本は必勝を期したギリシャ戦が引き分けに終わり、決勝トーナメント進出が相当厳しくなった。
この結果に「激辛」な感想をツイッターに寄せたのが、朝日新聞リオデジャネイロ特派員の柴田真宏記者だ。日本代表を「参加32チーム中、最低レベル」とこき下ろした。
思い上がりは捨てて、謙虚にやり直すしかありませんね
柴田記者は日本-ギリシャ戦の試合中、ツイッターでしきりに熱い投稿を寄せていた。前半で相手に退場者が出て数的優位に立ちながら、なかなかゴールを割ることができない様子に、「引き分けは負けと同じ。リスクを負って攻めて欲しい」「ただ前線にボールを放り込むだけでなく、ドリブルやショートパスも交えて緩急をつけられないかな」「もう形はどうでもいいから点を取ってくれ!」と徐々にヒートアップしていった。
だが願いもむなしく、試合終了を告げる笛が響く。結果はスコアレスドロー。柴田記者は「こんな試合内容。もう絶望しかない」と落胆を隠さない。続けて、
「残念ながら参加32チーム中、最低レベルのチームだということが分かりました。『日本はどんな強豪と当たっても十分勝てる可能性があるよ』と言いふらしていたのが恥ずかしい。思い上がりは捨てて、謙虚にやり直すしかありませんね」
とバッサリ切り捨てた。初戦でコートジボワールに敗れた際には、「負けたけど、あと2試合あります。ギリシャとコロンビアを相手にゴールラッシュを見せてもらいましょう」と前向きなツイートをしていただけに、相手がひとり少ない有利な状況でも勝ちきれなかった日本代表に、怒りが頂点に達したようだ。
ブラジルの日本語新聞「サンパウロ新聞」電子版は1年前、柴田記者がブラジルに赴任した際にその横顔を伝えていた。2013年6月20日付の記事によると、米国大学院に留学した際に1か月ほどサンパウロとリオデジャネイロに滞在した経験を持つそうだ。朝日新聞ではスポーツ部記者として相撲やサッカー、柔道などを担当し、2008年の北京五輪、2010年のW杯南アフリカも取材している。競技としてのサッカーや日本代表への思い入れは強そうだ。
「大会前はあおったマスコミが手のひら返し」との指摘
「最低レベルのチーム」という辛辣(しんらつ)な評価に対しては、批判が少なくない。ツイッターの利用者からは、「今は労いの言葉があってもいいのではありませんか」「かりにもメディアという中にいる人が、こういう発言するというのが腹が立つ」とのストレートな反発や、「FIFAランク12位と引き分けた日本は実質的に32チーム中でも上位ですよ」といった皮肉っぽい返答が見られた。インターネット掲示板にも、大会前はマスコミがあおるだけあおったくせに、いざ日本代表が苦境に立つと手のひらを返す、という指摘が見られた。
一方で、柴田記者に賛同する人もいた。「朝日、正論や」「試合後のブーイングが答え」といった具合だ。
日本代表は初戦を落としただけに、ギリシャ戦は勝利が至上命題だった。引き分けでわずかに決勝トーナメント進出の可能性を残したものの、次戦でコートジボワールが勝てば自動的に日本の敗退が決まる。しかも日本の次の相手は、グループ内で最も強豪と言われるコロンビアだ。柴田記者ならずとも、落胆と怒りの感情がつい噴き出した人はいたのではないだろうか。
柴田記者はその後、気を取り直したのかツイッターにこう書いた。
「暑さで消耗するクイアバでの試合、コロンビアは主力の一部を外してくると予想されます。とにかく勝って、あとは祈るのみ」
祈りは通じるだろうか。