1億4000万件超が加入、広く薄く「課税できる」
とはいえ、財政再建のため、「増税」は避けられなくなっている。一方で法人減税などの実施を「約束」しており、新たな財源の確保は欠かせない。たばこや酒などの嗜好品をはじめ、海外からインターネットで配信されるゲームや書籍の電子商取引、パチンコや競馬などの娯楽分野は、増税の検討対象になりやすい。
携帯電話などの情報通信分野もそう。じつは携帯電話への課税は、東日本大震災後の復興財源の一つとして、民主党政権当時の与謝野馨経済財政担当相がぶち上げたことがあった。「(1台あたり)1日5円から10円程度もらえば数千億円の規模になる」と、通信会社を対象に、携帯電話の端末数や基地局数などに応じて徴求する電波利用料を引き上げる案が浮上した。
この案であれば、携帯電話の利用者が直接負担することはないが、電波利用料の引き上げ分を通信会社が通話料や通信料に上乗せすれば、結果的には税負担が増す。
とはいえ、携帯電話の加入契約数は2013年12月末時点の累計で、1億4105万2365件(総務省調べ)。広く、薄く税金をかければ、一人あたりの負担は軽くなるとの考え方がある。しかも増税で価格が多少上がっても、なかなか手放せないとの事情も見込める。
一方、海外の事例では、フランスの有識者委員会が2014年5月にスマートフォンやタブレット端末を販売する会社などを対象に課税する案を政府に提言している。
また、2009年に金融市場でデフォルト懸念が広がったギリシャでは、欧州委員会(EC)の度重なる財政規律の健全化勧告によって、政府がヨットや大型自動車、燃料、宝くじへの課税を強化した。このとき、携帯電話も対象になっている。