「中東の翼」が、日本でも存在感を増している。中東のカタール国営のカタール航空が2014年6月18日、最新鋭中型機のボーイング787型機で羽田空港に乗り入れ、羽田-ドーハ便の運航を始めた。
羽田に定期便を乗り入れる中東の航空会社は、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに本拠地を置くエミレーツ航空に続いて2社目。これらの航空会社の主なターゲットは、ヨーロッパやアフリカへの乗り継ぎ客だ。中東系はサービスが良く比較的割安なことから、欧州系や日系航空会社にとっては脅威になりそうだ。
乗客の8割がドーハ以遠への乗り継ぎ客
羽田はカタール航空が就航する143番目の空港で、日本では他に関西、成田に乗り入れている。アクバ・アル・バクル最高経営責任者(CEO)が6月19日に都内の会見で明らかにしたところによると、利用者のうち8割がドーハ以遠への乗り継ぎ客だ。モルディブ、東アフリカのウガンダ、ケニア、タンザニア、欧州ではローマ、ミラノなどが日本人観光客に人気だという。
カタール航空と前出のエミレーツ航空にUAEのアブダビを拠点にするエディハド航空の3社は「ガルフ3社」と呼ばれている。エミレーツは13年6月に羽田乗り入れを果たしており、国内では他に成田、関西に乗り入れている。エディハド航空が乗り入れているのは成田、名古屋(中部)。
エミレーツ、エティハドとの「三つ巴」の可能性も
3社ともオイルマネーを背景に大量に新型機を購入している。カタール航空の場合、13年度の乗客は1920万人だが、14年度には首都ドーハに新空港が開港し、大型機が相次いで納入されることから2300~2400万人に急増するとみている。16年度までに3000万人にまで増やしたい考えだ。
他の2社も事情は同様で、欧米系、日系航空会社から乗客を奪いそうなのはもちろん、ガルフ3社間の競争も激化しそうだ。
この点について、アル・バクルCEOは、
「カタール航空は(国際運輸調査機関のスカイトラックス社が認定した)5つ星の上空会社で、機内食、快適性の点で最高水準の機内サービスを提供している。カタール航空のビジネスクラスの配列は1-2-1だが、競合他社は7~8席が並んでいる」
などとサービス面の優位性を強調した。
ドバイ、ドーハなど中東の空港は免税店が充実していることでも知られ、海外慣れした旅行客には人気がある。