第一生命保険が、国内保険会社によるM&A(企業の買収・合併)としては過去最高額となる5822億円を投じて、米中堅生保のプロテクティブ生命保険を買収する。
第一生命の保険料収入にプロテクティブ分を単純に加えると、国内最大手の日本生命保険とほぼ並ぶ規模になる。第一生命が「日本最大の生命保険会社」になる日は来るのか。
さらなる買収によって規模拡大を進める
「第一生命グループがグローバルに飛躍することを確信している。持続的な成長に向けてまい進していく」。第一生命の渡邉光一郎社長が2014年6月4日、買収の正式発表に際して出したコメントには、高揚感が隠しきれなかった。
それも無理はない。第一生命が大型買収に備えて機動的な資金調達をするため、相互会社から株式会社に形態を変え、東京証券取引所に上場したのが2010年4月。それから4年の年月を経て、ようやく実現した「悲願」の大型買収だったからだ。第一生命は巨額買収の資金にあてるため、最大2500億円規模の公募増資も実施する予定。株式会社化した強みを存分に生かしたといえる。
巨額の買収額と並んで世間の耳目を集めたのが、保険料収入で日本生命と匹敵する規模になるという点だ。第一生命の連結保険料等収入は4兆3532億円(2014年3月期)。プロテクティブ社の約3000億円と単純合算すると約4兆6500億円になる。日本生命の4兆8255億円に肩を並べる水準だ。
プロテクティブ社はこれまで、同業他社のM&Aや既存保険契約の買い取りを40回以上繰り返し、拡大してきた経緯がある。世界最大の保険市場である米国への本格進出を狙っていた第一生命が着目したのは、この買収ノウハウだった。第一生命は今後もプロテクティブ社の経営陣を続投させ、さらなる買収によって規模拡大を進める考えだ。
この戦略が成功すれば、連結ベースで日本生命を上回るのは時間の問題といえそうだ。買収が明らかになった後、第一生命の株価は財務負担懸念から一時下落したものの、市場では「中長期的には収益源の多角化で経営が安定する」(アナリスト)と評価する声が多い。