日本人の体形に合ったジーンズ
人気を支えてきたのが、優れたマーケット調査・商品開発力だ。日本人に合ったデザイン、スタイルのジーンズを開発し、それまでの輸入ジーンズに比べて着心地のよさやデザイン性の高さなどが幅広い年齢層に受けた。他社を圧倒する国内13の自社工場で製造することで手ごろな価格での提供も可能にした。また、EDWINのCMにハリウッドの人気俳優、ブラッド・ピットを起用して話題にもなった。
父親の経営する衣料品店を引き継ぎ、こうしたビジネス展開でエドウインとして成長させたのが、米国留学経験もある常見社長だった。業界を牽引してきた人物でもあり、「カリスマ社長として有名」(関係者)。国内製造へのこだわりも強かった。ただ、経営責任を明確にしなければ債権者を納得させられず、再スタートを切ることもできなかった。
辣腕の常見社長が去ることへの懸念はあるが、伊藤忠は国内工場を維持していく考えのようで、業界では「アパレルに詳しい伊藤忠傘下になることで市場トレンドや消費者ニーズに今まで以上に敏感になり、商品開発力に一層の磨きがかかるかもしれない」と予想する声もある。