サッカーワールドカップ(W杯)ブラジル大会の開幕戦、西村雄一主審の「PKの笛」が世界に波紋を広げている。反則をとられたクロアチア代表の監督は西村主審を猛批判し、各国のサッカーファンからも批判的な意見が少なくない。
お笑い芸人の明石家さんまさんもラジオ番組で、西村主審の判定について「PKちゃうぞって」と苦言を呈した。
「気ぃ、遣いはったんやろね」とさんま節
これまでもたびたびサッカーの主要な出来事にコメントしてきたさんまさんが、今回は西村主審のジャッジに物申した。2014年6月14日放送のラジオ番組「ヤングタウン土曜日」(MBSラジオ)で、日本時間13日に行われたW杯開幕試合、ブラジル―クロアチア戦の西村主審によるPKの笛に、
「(試合を)見てて、PKちゃうぞって」
と述べたのだ。番組出演者のひとりは「(クロアチアの選手がブラジルの選手を)後ろからつかんでいましたよ」と言うが、耳を貸さない。「あれPKとったら、とんでもなくPKの数が多くなるぞ」と主張。そのうえ「そんなに激しく(相手を)つかんでないって。ゴール前なら当たり前のこっちゃ」と続け、「厳しすぎる判断」に反発した。
前回の2010年W杯南アフリカ大会で、西村主審は準々決勝のブラジル―オランダ戦を裁いた。この時はブラジルの選手を退場処分にしている。さんまさんは、これを引き合いに出してブラジルにPKを与えたのは「気ぃ、遣いはったんやろね」と笑いを誘い、あの場面で反則を取らなければブラジルの観衆から大ブーイングを受けてしまうから笛を吹いてしまったのだろう、と冗談を続けた。この辺は「さんま節炸裂」だが、こと判定については「あれがPKなら、えらいこっちゃ」と真剣そのものの声色に聞こえた。
報道によると、西村主審の笛に対しては、さんまさんのように「正しくなかった」と考える審判経験者も一定数いるようだ。6月14日付のスポーツ報知電子版は、日本人審判に「西村判定」についてアンケートを実施。回答数400件のうち57%が「正しかった」、32%が「正しくなかった」だったという。
審判員の資格を持ち、サッカーサイト「フットボールレフェリージャーナル」を運営する石井紘人氏は、「間違ったジャッジではないが、PKをとらなくてもよかったと思います」と話す。映像を見ると、ファールを受けたブラジルの選手の主張どおり、クロアチアの選手に肩をつかまれている。問題はこの行為が「プレーに影響しているかどうか」だという。石井氏は、ブラジルの選手が反則を「もらいにいっていた」と見たため「PKは厳しい」と考えるようだ。