最もクリエイティブな都市は東京
最近の外国人が日本のアニメや音楽だけでなく、ファッションや化粧など日本の文化全般に関心を示し、クリエイティブだと評価する傾向は、米国系のIT関連企業「アドビシステムズ」が2012年4月に米英独仏日の5か国で行った調査からも伺える。同社が5か国の18歳以上の成人各1000(合計5000)人に調査したところ、クリエイティブな国との質問に日本を36%が挙げて1位、以下、米国の26%、ドイツの12%、フランスの11%と続いた。最もクリエイティブな都市でも、東京がニューヨークやパリ、ロンドンを抑えて1位だった。
国別の回答では、英独仏の3か国が日本を1位に挙げた。米国は米国が1位、日本が2位だった。日本は1位が米国の39%で、2位が日本の26%、3位がフランスの16%と続いた。日本は世界で最もクリエイティブな国にランクされたが、大半の日本人は必ずしも自らをクリエイティブとは考えていないという皮肉な結果だ。
経済産業省によると、メディア・コンテンツ、飲食・飲料、ファッションなどを合わせたクリエイティブ産業の世界の市場規模は、2009年の463兆円から2020年には932兆円に倍増するという。現在、この分野で日本企業の海外売上高は約2.3兆円で、世界シェアは約0.5%に過ぎない。クリエイティブ産業の輸出入では、ゲームが唯一、輸出が輸入を大幅に上回る貿易黒字となっているが、化粧品、ファッション、映画、音楽、書籍、雑誌、著作権は、いずれも輸入が輸出を上回る輸入超過となっている。
安倍政権は日本の自動車や電気製品だけでなく、アニメや音楽などクリエイティブ産業を海外に売り込む「クールジャパン」(かっこいい日本)政策をアベノミクスの第3の矢(成長戦略)のひとつに掲げている。政府は「日本の魅力を発信することで、海外で日本ブームを創出したい」としており、6月末に策定する新しい成長戦略に具体策を盛り込み、官民で日本を売り込む方針だ。