女性付きまとい逮捕男は85歳 「高齢ストーカー」、なぜ急増?

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専門家「退職で抑止力なくなり、孤独感も募る」

   近年、急増したのはなぜなのか。福山大学人間文化学部教授の平伸二氏(犯罪心理学)は「今の高齢者は高度経済成長を支えてきた世代。終身雇用のもと、仕事一筋で打ち込んできた人が多いです」と指摘した上で、退職による変化が影響しているとみる。

「まず『抑止力』がなくなることが挙げられます。会社などに勤めていればクビや降格を恐れてブレーキがかかりますが、リタイアすればそうしたリスクがなくなる。また、長く勤め上げた会社との絆が切れたことによる『孤独感』もあるでしょう。街や店に出かければ人はいるのに、自分の存在感を見出すことができない。そうした寂しさや孤独感からどこかに接点を求め、恋愛対象ができると過度に傾倒してしまう傾向にあると考えられます」

   退職後にともに暮らす家族がいないことも問題だ。家族の存在は会社に所属している時と同様、抑止力となるが、子供と一緒に住んでいる高齢者も最近では少なく、妻に先立たれて一人暮らしを余儀なくされている高齢者も増えている。そうした寂しさから、恋愛対象にのめり込んでしまうことも考えられる。

   報道によれば、奈良県警に逮捕された男も無職で「孤独」だったらしい。男が女性と知り合ったのは4年前のことで、妻が入院した際に相部屋だったことがきっかけだった。ストーカー行為が始まったのは妻が死去した後からのようで、女性宅に頻繁に押しかけるようになったという。男は1月にも同じ女性への脅迫容疑で逮捕されており、付きまといをやめるよう文書で警告もされていた。

   平教授は「ストーカー行為者を摘発するのはもちろんですが、高齢者を社会から孤立させないことも重要」と言う。今の高齢者は昔に比べて体力的にも余裕があり、知識や技術、意欲もある人が多い。その上で、地域社会に参画できる仕組みづくり、コミュニティづくりが防止につながるとみる。

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