「すき家」が薬局に参入、経営多角化急ピッチ 太陽光発電、介護サービスも手掛ける

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   牛丼チェーン店の「すき家」が、薬局を手がける。それだけではない。酒造販売や自然エネルギー事業、介護サービス、クリーニング業に乗り出す。

   「すき家」の親会社であるゼンショーホールディングス(HD)が2014年6月24日に開く株主総会で、定款の一部変更を提案する。「すき家」はアルバイト不足が原因で一部店舗が閉店に追い込まれるなど苦戦している。「すき家」の看板が、「薬局」に代わるようなことがあるのだろうか。

食品スーパーに薬局を併設 「すき家」の看板は代わらず…

「すき家」が、薬局や太陽光発電、介護サービスに参入!(画像は、「すき家」のホームページ)
「すき家」が、薬局や太陽光発電、介護サービスに参入!(画像は、「すき家」のホームページ)

   ゼンショーHDが2014年5月23日に公表した「定款の一部変更のお知らせ」によると、事業の目的事項に「調剤薬局業及び医薬品並びに医薬部外品の販売」を追加することが記されている。

   さらには、

「百貨小売業及びこれに関連する商品の製造・加工卸売業」
「酒類の製造及び販売、並びに輸出入」
「介護サービス事業」
「自然エネルギーによる発電及び売事業」
「ビル並びに一般家屋の清掃業、クリーニン業」

の5つが、新規事業として加えられているのだ。

   そもそも、ゼンショーHDは牛丼チェーン店の「すき家」のほか、丼ぶり&京風うどんの「なか卯」やファミリーレストランの「ココス」、ハンバーグチェーン店の「ビッグボーイ」、和食の「華屋与兵衛」、回転ずしの「はま寿司」、コーヒーショップの「モリバコーヒー」 と、さまざまな外食チェーン店を展開している。

   さらには、2009年に青果店の「ユナイテッドベジーズ」、12年11月には千葉県を主たる地盤とする中堅の食品スーパー「マルヤ」を傘下に収め、スーパー事業に進出。首都圏で、千葉県にある「マルエイ」や栃木県の「ヤマグチスーパー」といった食品スーパーの買収も発表している。

   食品スーパーへの進出については、すでに同社が北海道大樹町に自前の牧場を所有していることから、原材料の調達から製造・加工、物流、店舗での提供までを一貫して行うことで、経営の効率化や「食の安全・安心」を高める狙いがあるとしていた。

   しかし「経営の多角化」とはいえ、薬局や酒屋、自然エネルギーというのは、いささか「畑ちがい」ではないのか。しかも、人手不足が深刻化する厳しい経営環境のなかで、なぜ今なのだろう――。

   ゼンショーHDは定款の変更について、「たとえば薬局ですが、じつはグループ傘下のスーパーマーケット、『マルヤ』ですでに併設しているところがあり、その拡充に対応するものです」と説明する。

   とくに、牛丼の「すき家」の看板が「薬局」に代わるようなことはないようだ。

店舗や工場に「太陽光パネル」、介護にも「食の安全・安心」を

   ゼンショーHDによると、自然エネルギー事業でもすでに、回転ずしチェーン店「はま寿司」の店舗や兵庫県にある関西工場の屋上や、自社の牧場の遊休地などに太陽光パネルを設置して運用を開始。「まだ緒についたばかりですが、クリーンエネルギーの比重は今後高めていきたいですし、そのためのノウハウを蓄えているところ」と、この事業には高い将来性を見込んでいる。

   また、介護サービスについても2014年1月、北海道の介護事業者を買収。社員を派遣して、介護事業のノウハウ習得に努めているところ。「介護事業は、『食の安全・安心』を提供していく点で外食事業との相乗効果が期待できる事業」と話す。高齢化社会の進展に備えて宅食サービスの展開も視野に入れているという。

   介護事業に本格的に取り組めば、おのずと家庭などの掃除やクリーニングに踏み込むことになるかもしれないし、また食品スーパーを営むのだから、お酒をつくったり輸入販売したりすることもできるようにしておいたほうがよいという判断はある。

   同社の説明だと、定款を変更して「きちんと明記した」にすぎないようだが、それらが本業の外食業とまったく関係がないわけでもないようだ。

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