STAP細胞の論文不正問題で、「週刊文春」は理化学研究所に対して情報開示請求を行い、入手した経理資料の中身について報じている。
だが、開示された小保方晴子氏や笹井芳樹副センター長の研究室の経費明細書は「黒塗りだらけ」で、出張先や個別の金額すらわからない。通常の情報公開ではありえない話で、「何かを意図的に隠しているのでは」という声すら出ている。
「二人の出張が11か月間で計55回、496万円分」
2014年6月12日、外部有識者からなる理化学研究所改革委員会は、発生・再生科学総合研究センター(CDB)の解体と廃止を提言した。小保方氏の問題だけでなく「構造的な欠陥がある」と組織内部にまで踏み込み、理研の体質そのものに再び注目が集まっている。CDBの研究事業費は年間約29億円で、その多くは国民の税金で賄われているため、不正は許されない。
小保方氏の使った資金を調べるため理研に情報開示請求し、その中身を報じたのが「週刊文春」(6月19日号)だ。小保方ユニットの半年分と笹井研の3年分の「予算差引明細書」という文書が開示されたという。小保方ユニットは2013年9月から14年3月までで、総予算2300万円が使われた。明細書の中には「実験用丸椅子 24万6000円」が購入された記録もあったが、メーカー名や購入数が黒塗りで、適切な使途か確かめられなかったそうだ。
この問題を取りあげたフジテレビ系「とくダネ!」は、NPO法人情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長のコメントとして、
「支払先についても特殊な事情がない限り非公開にする理由がない。何か意図的に隠さなければいけない事情があると思われて当然」
という言葉を紹介した。
さらに、文春によると小保方氏と笹井氏の出張旅費の部分も黒塗りにされていた。出張先行先、出張に行った日、金額までもが明らかになっていない。「二人の出張が11か月間で計55回、496万円分」ということだけがわかったと書いている。