サッカーワールドカップ(W杯)ブラジル大会で、日本代表が初戦で顔を合わせるコートジボワール代表。サッカーの実力はもちろん侮れないが、ほかにも気になる情報が聞こえてきた。
コートジボワールをはじめ、西アフリカ諸国はいまも呪術が盛ん。アフリカ大会や過去のW杯では、呪術師が対戦国に呪いをかけるといった話題が何度も出ており、呪術師が逮捕されたケースもあった。
カメルーン代表は呪術師帯同も予選リーグ敗退
コートジボワールは「呪術師大国」――。2014年6月13日放送の「モーニングバード!」(テレビ朝日系)では、在日コートジボワール人の男性が登場し、サッカーでPK戦となった際に、チームが呪術師に電話をかけてキッカーを誰にすべきか相談するといったエピソードを披露した。代表チームは1992年に初めてアフリカを制したが、番組によると「呪術師に謝礼を払わなかった」ためにその後10年間低迷したという。2002年にようやく支払いを済ませると、その効果か2006年にW杯に初出場を果たし、今回まで3大会連続で勝ち上がってきた。
日本のサッカー界では考えられないが、アフリカではこれまでサッカーと呪術師にまつわる騒動がたびたび起きている。なかでもカメルーンは、逮捕者まで出していた。2002年のアフリカ・ネーションズカップのカメルーン-マリ戦で、カメルーンのコーチが試合前にピッチの上に何かを置き、それが「マリ代表を呪う行為」とみなされたという。試合前のグラウンドでの逮捕劇はその後、「身分証明書を提示しなかった容疑」と説明されたが、呪いについては否定されなかった。アフリカサッカー連盟は、対戦国同士が相手選手を呪い合っては収拾がつかなくなるとして、この大会での呪術とその儀式を禁じていた。
2010年のW杯南アフリカ大会では、カメルーン代表チームが呪術師を帯同して現地入りしたとの報道が流れた。スポーツ報知は2010年6月10日付の記事で、「アフリカでは他人に危害を加える黒魔術を禁止している政府はあるが、邪気のお祓(はら)いや勝利を願う呪術は盛ん」と報じた。ただこのときは、初戦で日本に敗れると、続くデンマーク、オランダにも黒星と3連敗で予選リーグ敗退。呪術師の力は及ばなかったのかもしれない。
動物の皮の帽子をかぶって奇声を上げる「まじない師」
外務省のコートジボワールの基礎情報を見ると、宗教はイスラム教やキリスト教を抑えて、伝統宗教が60%と最大になっている。古くから伝えられてきた信仰が、今も人々の間で深く根を下ろしているようだ。
AFP通信は2007年5月1日、コートジボワール北部に代々受け継がれてきた独自の信仰と儀式を特集した。動画には、土で作られた建物の中で村人の将来を占う「まじない師」の様子が映っている。上半身裸の男性が動物の皮でつくった帽子をかぶり、鈴を鳴らしながら鳥の鳴き声のような奇声を上げていた。「精霊との対話」だという。依頼者は礼として、精霊に果物やいけにえのニワトリをささげていた。
近隣の西アフリカ・ベナンの周辺国は、伝統宗教のブードゥー教が広く信じられている。旅行情報サイトを見ると、コートジボワールにもブードゥーを信仰する地域があるようだ。祈祷・まじないと深く結びついており、呪術師の活躍する場が今も少なくないことがうかがえる。だからと言って、「人を呪う」ばかりが仕事のわけはないだろう。依頼者の幸運を占ったり、災いを払ったりする役割の方が多いはずだ。
ただサッカーについては、世界的な人気の高まりのせいか相手国や選手を陥れる「黒魔術」の部分がクローズアップされる傾向はある。事実、今大会もガーナの呪術師が、同国が対戦するポルトガルのスター、クリスティアーノ・ロナウド選手が負傷したのは「私が呪いをかけたから」と名乗り出たという。もっともそのガーナも、主力選手が本番前の韓国との強化試合でけがを負い、初戦に出られないようだが……。
コートジボワールのスポーツ省は、今回代表チームが呪術師を帯同しているかについて「ノーコメント」と「モーニングバード!」の取材に語ったそうだ。今のところ日本代表は順調に練習をこなしている。「呪術パワー」を吹き飛ばせるか、その答えは日曜日に出る。