動物の皮の帽子をかぶって奇声を上げる「まじない師」
外務省のコートジボワールの基礎情報を見ると、宗教はイスラム教やキリスト教を抑えて、伝統宗教が60%と最大になっている。古くから伝えられてきた信仰が、今も人々の間で深く根を下ろしているようだ。
AFP通信は2007年5月1日、コートジボワール北部に代々受け継がれてきた独自の信仰と儀式を特集した。動画には、土で作られた建物の中で村人の将来を占う「まじない師」の様子が映っている。上半身裸の男性が動物の皮でつくった帽子をかぶり、鈴を鳴らしながら鳥の鳴き声のような奇声を上げていた。「精霊との対話」だという。依頼者は礼として、精霊に果物やいけにえのニワトリをささげていた。
近隣の西アフリカ・ベナンの周辺国は、伝統宗教のブードゥー教が広く信じられている。旅行情報サイトを見ると、コートジボワールにもブードゥーを信仰する地域があるようだ。祈祷・まじないと深く結びついており、呪術師の活躍する場が今も少なくないことがうかがえる。だからと言って、「人を呪う」ばかりが仕事のわけはないだろう。依頼者の幸運を占ったり、災いを払ったりする役割の方が多いはずだ。
ただサッカーについては、世界的な人気の高まりのせいか相手国や選手を陥れる「黒魔術」の部分がクローズアップされる傾向はある。事実、今大会もガーナの呪術師が、同国が対戦するポルトガルのスター、クリスティアーノ・ロナウド選手が負傷したのは「私が呪いをかけたから」と名乗り出たという。もっともそのガーナも、主力選手が本番前の韓国との強化試合でけがを負い、初戦に出られないようだが……。
コートジボワールのスポーツ省は、今回代表チームが呪術師を帯同しているかについて「ノーコメント」と「モーニングバード!」の取材に語ったそうだ。今のところ日本代表は順調に練習をこなしている。「呪術パワー」を吹き飛ばせるか、その答えは日曜日に出る。