識者も「どうなっているのか、さっぱり」
安全が心配される原発は、設計寿命を超えたものだけではない。韓国の原発は、14年に入って4度も不具合などで停止している。直近では6月9日、ハヌル原発1号機(88年稼働)の通常運転中に原子炉内の制御棒1本が落下し、精密点検のために手動停止した。
事故のみならず「不正」もある。13年5月には、事故発生時に冷却装置を作動させる「制御ケーブル」の性能証明書偽造が発覚し、ただちに2基の原子炉が停止された。度重なる不祥事に、韓国民はツイッターで「古里1号機の稼働を直ちに中断せよ!」などと声をあげている。
これまで「なあなあ」だった安全意識は、セウォル号事故をきっかけに引き締められるのだろうか。元時事通信ソウル特派員で『悪韓論』(新潮新書)、『呆韓論』(産経新聞出版)などの著書がある室谷克実さんは、韓国の安全意識を「なんだか怖い」と語る。
室谷さんは「安全の大合唱」こそ聞こえるが、具体的な内容は伝わってこないと指摘する。セウォル号事故以降にも、アシアナ航空のエンジントラブル(4月19日)、地下鉄の衝突(5月2日)・爆発(20日)、高速鉄道「KTX」の不良品ブレーキ納入問題などが立て続けに起きたが、再点検などの続報は伝わらないといい、「どうなっているのか、さっぱり」と首をかしげている。