マクドナルド株、11年ぶり高値の不思議 売上高マイナス続いているのに、なぜ…

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   日本マクドナルドホールディングス(HD)の株価が、2002年8月以来、じつに11年10か月ぶりの高値水準にある。

   しかし、2014年5月の売上高をみると、全店ベースで前年同月比3.0%減と4か月連続のマイナスが続いていて、なかなか買いたくなる材料はみつからない。この高値は、なぜなのか――。

アボガドバーガーやとんかつバーガーは「売り切れ」も!

マクドナルド株は、高値水準に!(画像は、「マクドナルド」のホームページ)
マクドナルド株は、高値水準に!(画像は、「マクドナルド」のホームページ)

   日本マクドナルドHD株は2014年6月10日、3日続伸して一時、前日比12円高の2965円まで買われ、年初来高値を更新した。翌11日の終値も、5円高の2964円と高値に迫った。13年12月末に比べると10.3%の上昇だ。

   外食業界は現在、客単価が高いファミリーレストランなどが好調で、消費増税の影響も比較的軽微とみられている。その一方で、デフレ時代を「安売り」で乗り切ってきた牛丼チェーンやハンバーガーチェーンなどのファーストフード店は、売上高や客数、客単価を思うように伸ばせずにいる。

   そうした中で、日本マクドナルドHDは3月に、原田泳幸会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)が代表権をもたない会長に退き、サラ・カサノバ氏が社長兼CEOに就任。それを機に、売り上げ低迷の打開策として家族連れや女性を意識した新メニューに力を入れてはじめた。

   新登場した、4月の「アボカドバーガー」は一部店舗で売り切れが、また5月に販売した「とんかつマックバーガー」も予定よりも早く完売する人気商品となり、売り上げ回復への期待も高まった。

   ところが、株価が高値を付ける直前の6月9日に発表された5月の月次売上高は、全店ベースで前年同月比3.0%減、既存店ベースでも2.4%減と、いずれも前年実績を下回った。

   日本マクドナルドは、「前年のキャンペーンは、お得感のあるバリューメニューを多くそろえたことが奏功。今年もアボガドバーガーが前倒しで売り切れるなど、売り上げをけん引したのですが… 力強さの差が出ました」と説明する。

   ただ、売上高のマイナス幅は縮小傾向に転じている。同社は「短期的なディスカウントで集客するような手法はもうやりません」と話し、「顧客ニーズにあったメニューの開発などで少しずつ成果がみられます。引き続き、中長期的な取り組みを確実に重ねていくだけです」と、手応えを感じているようだ。

   消費増税後の個人消費が堅調なことに加えて、6月はサッカーワールドカップブラジル大会を記念した「FIFA World Cup公式ハンバーガー」も、W杯の開催で売り上げ増が期待されている。個人投資家らもそのあたりに買い材料を見出したのかもしれない。

「マクドナルド株は買いやすい」 NISAで初心者の投資が増えた?

   とはいえ、ここ最近のマクドナルド株の上昇が、サラ・カサノバ社長の手腕や収益回復への期待だけによるものとは思えない。マクドナルド株を保有している個人投資家に聞いてみた。

「マクドナルド株は、毎年6月末と12月末に向けて株価が上がり、7~8月と1~2月に安値を付ける傾向にあるんです。というのも、株主優待券ほしさに権利確定日に向けて買う個人投資家が多いからなんです」

たしかに、2014年の株価をみると、2月6日に年初来安値(2501円)を付けている。

   日本マクドナルドHDの株主優待は、マクドナルドで使える食事券(サンドイッチ、サイドメニュー、ドリンクの引換券が6枚ずつで1冊)で、100~200株の保有で1冊、300~400株で3冊、500株以上で5冊の食事券がもらえる。

   前出の個人投資家は「子どもがいる人にとっては便利。ハンバーガーはどんな種類でも、ポテトとドリンクはどんなサイズでもOK。一番お徳なのをチョイスしてLサイズを注文すれば800円くらいがこの券でタダですから」という。

   2014年は少額投資非課税制度(NISA)がはじまって、株式投資が初めてという人も少なくない。日本マクドナルドHDに限らず、外食業界は株主優待の内容が充実している企業も多く、「初めて株を買う人にとっては比較的買いやすい」といわれる。

   日本マクドナルドHDの株主も個人投資家が多いが、同社は13年と比べて「個人投資家が増えているかはわからない」としながらも、「(株価が高値水準にあるのは)NISAの影響があるのかもしれません」と話している。

姉妹サイト