ダンスは全く「健全ではない」のだそうだ。男女がペアになって踊るため、これがきっかけで不倫が起きたり、ストーカー行為をしたりする人が現れるのだという。
風俗営業法によって営業が縛られているダンス教室やクラブなどの規制緩和に反対するダンス団体の幹部が朝日新聞のインタビューに応じ、「不健全論」をぶった。
「暴力団や反社会的勢力が流入してくる恐れもある」
超党派のダンス文化推進議員連盟(会長・小坂憲次参院議員)は規制緩和する法改正を目指したが2014年6月10日、今国会への法案提出を断念した。反対に動いたのが一部のダンス団体だ。
「ダンスは健全だと主張している団体もあるが、ちっとも健全じゃない。男女が組んで踊る以上、常に何か起こる危険があります」
朝日新聞(14年6月10日付け)に社交ダンス教師団体「全日本ダンス協会連合会(全ダ連)」小川純副会長のこんなインタビューが掲載された。同氏によると社交ダンスは戦後間もないころに規制の枠に入れられたが、現在も健全ではない、という。不倫が起きたり、カップル解消を巡りストーカー行為をする人がいたり…。セクハラもあれば、パワハラもある。そうした実態を踏まえ、全ダ連は今回の風営法改正に反対するためのロビー活動を続け、法案提出を阻止したという。
社交ダンスを巡っては、1998年の法改正によって資格を持った教師が教える教室のみ風営法の適用は外れた。ダンスやダンスホールに規制が残っているため、教師がいても自主規制で多くの教室は午後9時までには終了する。ダンス業界にとって風営法管理下というイメージの悪さの払拭と、日本にダンス文化を広く深く浸透させるため、風営法から外れることが長年の悲願だった。
しかし、全ダ連はダンスが風営法から除外されることをずっと阻止してきた。小川副会長は警察がバックにいないと安心して仕事ができず、「規制緩和は必要ない」と断言している。現在でもアマチュア団体が無許可で営業し、大金が動くケースがあり、
「チークダンススクールと称して、女性にTバックをはかせてマンションの一室で隠れ家のように営業するとか、何でもありになってしまう。暴力団や反社会的勢力が流入してくる恐れもある」
と指摘する。
東京五輪で夜踊れないと外国人はどう思うか
このインタビューについてネットでは、
「Shall We Dance?も最初は女の先生が目的だったしな」
「若い人のダンスはプロ目的以外はほぼ出会い系。年取ったら不倫市場」
「男女の出会い増やした方が少子化対策になるんじゃねーの?」
などといった斜に構えた見方も出ている。
本当に社交ダンスは不健全で、犯罪と隣り合わせの娯楽、スポーツなのだろうか。社交ダンスを日本で広めている担当者に話を聞くと、
「全く持ってデタラメな言いがかりだ。ダンスの現実を歪めるものとして許せない」
と激怒した。この担当者によれば国会での法改正は行われ、風営法からダンスが外れるものだと確信していた。業界は自主規制を強め慎重に教室やホールを運営してきており、風営法にかかってしまうものなど一つもない。規制が外れることによって世界から見てダンス後進の日本が飛躍するきっかけになるはずなのに、とガックリしていた。
「東京オリンピックがありますよね。世界中から人が来て、自国にいる時のように夜に踊りたくても踊れない。日本はどう思われてしまうのでしょうか」