英エコノミスト誌(電子版)が、日本の鉄道、とりわけ新幹線の優位性を高く評価する記事を掲載した。新幹線が技術面で世界的に高く評価されていることは有名だが、今回の記事ではビジネスモデルとして優れている点にも焦点を当てた。
英国では高速鉄道の整備計画が進んでおり、日立が多数の車両を納入することが決まっている。それだけに、英国が日本の鉄道に寄せる期待は高いようだ。
フランスは政府から多額の補助金、英国は上下分離で非効率
記事は2014年6月9日、「なぜ日本の高速列車はあれほどいいのか」と題して掲載された。
記事では、フランスではTGVの拡張が遅々として進まない一方で、スペインや中国では急速に高速鉄道の建設が進んでいることを指摘。日本の新幹線については「自前の新型鉄道を持ちたいと願う鉄道会社や政府から、模範として持ち上げられてきた」と表現した。
記事によると、「列車は日本の近代化の象徴」だという。明治維新とほぼ同時期に日本で鉄道が開業し、1930年代には首都圏と名古屋、大阪などを結ぶ東海道本線の混雑が激しくなるなど、日本の発展と鉄道の発展が相似形だからだ。
エコノミスト誌の関心事は、日本の鉄道会社の事業構造だ。JR7社で最も乗客数が多いJR東日本を例に出しながら、いくつかの点で日英の比較を試みている。
まず、政府から補助金を受けているフランスのTGVと比較する形で、JR東日本が政府から直接の公的支援を受けていないことを高く評価した。次に、英国では、線路をはじめとする設備を持つ会社と、列車を運行する会社を別々にする「上下分離」が行われている。この結果として英国の鉄道では上下2社が同様の業務を別々に行って非効率が生じているという。これと対比する形で、設備管理と運行をJR東日本1社で行うことで効率的な経営が可能になっていると説く。