「1年で構造改革をやり遂げる」と言明
安江社長は「今の資金の状況では改革に時間がかかる」と説明したが、構造改革の遅れ→財務体質の悪化→構造改革に費やす資金が作れずさらに財務悪化→構造改革のいっそうの遅れでじり貧……という悪循環に陥ったわけだ。
ユニチカがここまで追い込まれたのは「経営陣の危機感の薄さ」が原因と、がライバル企業は見る。他社に遅れたとはいえ、1990年代に入ってナイロン繊維事業からの撤退や1000人規模の人員削減を実施、2009年3月期は6年ぶりの赤字に転落すると、役員報酬減額、賃金カット、工場の閉鎖・縮小、再度の人員削減などの大規模リストラを実施し、2012年3月期まで減益傾向ながらも3期連続で黒字確保した。問題は、そこからで、「事業の選択と集中により、構造改革が予想以上に進んだ」と錯覚し、改革が一段と遅れたといわれる。
では、ユニチカに未来はないのか。金融筋などの見立ては「再建は可能」。今後、金融支援で得た資金で、フィルム事業の拡販(日本や中国のフィルム製造設備改造など)に20億円、樹脂事業で耐熱樹脂の拡販(製造能力の増強)に30億円、不織布事業ではタイでの能力増強など50億円を投じる方針で、人員削減を計画していないのも、再建への自信の表れだろう。
ただ、金融支援要請を発表した翌日の東京株式市場で、ユニチカ株は、先行きの不透明感を嫌気した売りが広がって今年の最安値を更新した。市場も慎重な見方を崩していないのだ。
注連新社長は「1年で構造改革をやり遂げる」と言明した。まさに有言実行あるのみ、猶予はない。