訪日外国人が国内で使う金額から、日本人が海外で支払う金額を差し引いた「旅行収支」が2014年4月、1970年7月以来43年9か月ぶりに黒字に転じた。財務省が6月9日に発表した4月の国際収支速報でわかった。旅行収支は177億円の黒字となった。前年4月は224億円の赤字だった。
1970年7月は、大阪で日本万国博覧会が開かれ、訪日客が増えたときだった。年間1000万人超の外国人が訪れるようになったことが旅行収支にはっきりと表れた。
4月の訪日観光客は123万1500人で、前年同月比で33.4%多かった。タイやベトナムは単月ベースで過去最高。円安で日本観光が割安になったうえ、東南アジア諸国を対象にビザ(査証)の要件を緩和したりした効果が強まっている。
一方、4月の日本人出国者数は4.4%減った。
また、海外とのモノやサービスなどの総合的な取引状況を示す経常収支は1874億円の黒字(前年同月は7844億円の黒字)だった。黒字は3か月連続。ただ、貿易収支の赤字幅が拡大したことなどもあり、4月単月での比較では1982年(1376億円の黒字)以来の32年ぶりの低水準だった。