資生堂が企業の女性管理職や女性役員らを側面支援する取り組みをスタートさせた。大手企業を中心に女性を経営幹部に登用する動きが広がっており、企業を代表する「顔」や「公人」としてふさわしいメークやファッションを紹介しようという試みだ。
同社は「役員メーク」として定着させたい考えで、手始めに、ホームページなどを通して、メークやファッションのプロたちがノウハウや技術の指南に乗り出した。
女性幹部らを直接指導することも検討
第1弾として、2014年5月下旬からホームページ上で、資生堂ビューティークリエーション研究センターのヘア&メーキャップアーティスト、鎌田由美子さんが、「オフィス編」と題し、ヘアやメーク、服装のコーディネートのポイントなどを紹介。メークでは、「エグゼクティブ(上級管理職や経営幹部)世代ならではのエイジングの肌の悩み」に焦点をあて、しわやたるみ、肌のくすみなどを上手にカバーしたうえで、魅力をひきたたせる方法などを説明。幹部や役員の定番であるスーツを着こなす際、品格を醸し出すさまざまな工夫についても解説している。
近く、第2弾として「エレガンス編」もホームページ上にアップする予定。オフィスの中だけでなく、経済団体や業界関係者などが集まるパーティなどの場で適切なフォーマルの装いについて、専門的にアドバイスする。今後は企業の要望に応じ、実際に女性幹部らを直接指導することも検討するという。実際、ニーズは高いとされており、資生堂は今後も柔軟な対応で女性たちを応援していく構えだ。
現在は大手企業でも部長職全体の5%程度
最近では、野村ホールディングス傘下の野村信託銀行社長に、国内の銀行では初となる女性トップが誕生するなど、企業の女性登用の動きは急速に拡大している。しかし、経営幹部に就く世代の女性たちは、「男性社会」の中でがむしゃらに働いてきた面があり、メークやファッションなどの知識が乏しい人も少なくない。40代以降のビジネスウーマン向けのファッション誌などもないのが実情だ。資生堂はこうした状況を重視し、自社が持つノウハウや技術で女性たちを後押ししようと、今回の活動を決めた。
安倍晋三政権は、アベノミクスの成長戦略の中核に「女性の活躍」を盛り込み、2020年までに「指導的地位に占める女性の割合」を30%まで引き上げる目標を掲げている。現在は大手企業でも部長職全体の5%程度に過ぎないとされる。「指導的地位30%」の目標を達成するため、企業はいっそうの女性登用を進める可能性が強く、資生堂の動きにファッションや広告関連の企業が関心を寄せている。