1期4年限りというのが慣例
ただ市場では、今後は円安による輸入エネルギー価格の押し上げが一巡することから、物価上昇圧力は弱まるとの見方が大勢。日銀が描く通りに、2年程度で物価が2%上がると見る向きは少ない。黒田総裁は強気の姿勢を崩さないものの、日銀は今後、追加緩和に追い込まれる可能性もある。
そんな難しい局面で任期満了を迎えるとあって、雨宮氏の去就が注目されていた。理事は日銀の最高意思決定機関である政策委員会(総裁、副総裁、審議委員)の推薦に基づき、財務相が任命する。再任を禁じる規定はないものの、理事は政策委員会の下で業務を執行する立場と位置づけられており、1期4年限りというのが慣例だった。新日銀法下での理事再任は、2012年11月に国際担当理事だった中曽宏氏(現副総裁)の例があるが、日銀内きっての国際派として知られる中曽氏は当時、国際決済銀行(BIS)の要職に就いており、代えるに代えられないという「特殊な事情」(日銀幹部)があった。