性行為ライブ配信で逮捕、「FC2なので大丈夫だと…」 「海外サーバーはセーフ」の大誤解

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   わいせつ行為のライブ配信で、全国で初めて現行犯が逮捕された。2014年6月3日、性行為の様子を配信していたとして、大阪市北区豊崎の自称ライブチャット配信業の松本隆志容疑者(30)と兵庫県宝塚市の短大生の女(19)が、公然わいせつの疑いで京都府警により現行犯逮捕された。

   使われたのは、アメリカに本社を置く動画投稿サイト「FC2」のライブ配信サービスだ。報道によると、容疑者は「海外サーバーなので大丈夫だと思っていた」と話しているという。容疑者と同様の認識はインターネット上でも散見されるが、専門家は「海外にあったとしても、国内のものと同じく罪に問われます」と指摘する。

わいせつ行為の一部が日本で行われればアウト

   松本容疑者はネット上で「帽子君」を名乗り、これまでにも複数の若い女性との性行為の映像をリアルタイムでライブ配信していた。報道によると、自宅マンションにはカメラを設置した撮影用の部屋が複数用意してあり、女性の同意のもと、会話や性行為の映像を流していたという。一部は有料で配信していて、13年12月から14年6月までに約3000万円もの入金があったというから驚きだ。

   こうした配信を見ている人たちはみな自発的とはいえ、不特定多数の人が認識しうる状態である以上、配信者は「公然わいせつ罪」に問われることとなる。ただし容疑者は、海外にサーバーがある「FC2」のサービスを利用していたことから、逮捕されることはないと高をくくっていたようだ。だが、こうした認識を持っているのは容疑者だけでない。インターネット上でも「FC2は海外企業でサーバーも海外にあるから警察は手出しできない」「警察も見逃さざるを得ない」などという意見が多くある。

   実際の法律はどうなっているのか。アディーレ法律事務所の篠田恵里香弁護士は、「公然わいせつ罪に会社やサーバーの所在地は関係ありません。わいせつ行為が一部でも日本で行われたのであれば、日本の公然わいせつ罪が適用されることになります」と話す。なお、日本人が海外でのわいせつ行為を海外のサーバーを通じて公開したとしても、配信先が日本であれば、これも「一部が日本で行われた」とみなされ、適用される可能性が十分にあるという。

   ちなみに、リアルタイムの配信ではなく、わいせつな動画を投稿した場合はわいせつ電磁的記録媒体陳列罪が適用される。こちらも投稿に関する行為の一部が日本で行われていれば問題となるそうだ。

「無法地帯」のFC2に警察が本腰?

   しかし「FC2」には、投稿動画・生放送のライブ配信問わず、違法な映像が蔓延しているのが現状だ。実際にはこれまでにもFC2上での動画投稿・ライブ配信によって逮捕された人も少なくないが、そうした違法映像がいまも普通に見られることや、「海外だから大丈夫」という誤解が広まっているせいもあり、ネットでは未だ「無法地帯」と呼ばれることもある。

   そうした事情もあり、今回の逮捕は、警察が実は「FC2」をしっかり監視していることを改めて見せつけたともいえ、違法ライブ配信者に対する「警告」との見方もできる。篠田弁護士も「今回のような現行犯逮捕の動きは今後増えていくかもしれませんね」と話す。

   ちなみに全国初の現行犯逮捕の決め手となったのは、松本容疑者が運営していた「帽子君ワールド」というブログだったようだ。現在も残っているブログを確認すると、出演女性の名前や開始時間など、いくつもの配信スケジュールが書き込まれている。報道によれば、こうした情報が13年秋ごろに捜査員のサイバーパトロールによって発見されたという。その上で、3日夜、ライブ配信中であることを確認した上で、複数の捜査員が撮影の行われている容疑者の自宅に踏み込み、逮捕に至ったそうだ。

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