理化学研究所の小保方晴子・研究ユニットリーダーらが執筆したSTAP細胞に関する論文不正問題で、小保方氏が論文2本のうち「アーティクル」と呼ばれる主要な1本の取り下げに同意したと2014年6月4日、主要マスコミが伝えた。理研が同日明らかにしたという。もう1本の「レター」と呼ばれる補足的な論文についてはすでに撤回に同意している。論文が掲載されたネイチャー誌が取り下げを認めれば、STAP細胞に関する研究成果はいったん白紙に戻ることになる。
小保方氏は4月の会見では「撤回するということは、そのオーサー(著者)が『この現象は間違いです』と世界に発表することになる」などと強硬に撤回に反対してきたが、会見後も論文に関する疑惑が続出。方針の変更に追い込まれた模様だ。
理研・上級研究員の独自調査で情勢変わる
論文2本は1月30日付に科学雑誌「ネイチャー」に掲載されたが、直後からネット上で「切り貼り」や「コピペ」疑惑が噴出。4月1日には理研の調査委員会が、論文の画像の切り貼りが理研の規程で「研究不正」に定められた「捏造」「改ざん」にあたると認定していた。
小保方氏は4月9日に開いた会見で、STAP細胞作製に200回以上成功したことや第三者による作製が成功したことを主張しながら、論文撤回については
「撤回するということは、そのオーサー(著者)が『この現象は間違いです』と世界に発表することになる」
として明確に拒否。小保方氏は考査のやり直しを求めて不服申し立てをしたが受け入れられず、理研は5月8日に開いた理事会で小保方氏の処分を決める懲戒委員会の設置を決めていた。
小保方氏側は理研の対応が不当だと主張を続けていたが、情勢が変わったのが6月3日。小保方氏が「STAP細胞を培養して出来た細胞」だとして公開していたデータを理研の遠藤高帆・上級研究員が独自に解析したところ、胚性幹細胞(ES細胞)など2種類の細胞を混ぜて得られたデータの疑いがあることが明らかになったのだ。遠藤氏は14年5月に調査結果を理研に提出している。この調査結果は、STAP細胞そのものの存在を揺るがしかねないものだ。