長谷川氏が修正案
そこで、長谷川案の2型を一本化した修正案が5月28日の競争力会議に出された。専門性の高い高給の社員に限らず、企業の各部門の中核・専門的な人材や将来の管理職候補を対象にするというもので、本人の同意を前提とし、一般事務や小売店などの販売職、入社間もない若手職員は見直しの対象外とした。具体的に、商品開発や海外事業のリーダー、金融関連ビジネスのコンサルタントや資金運用担当者などを例示、管理職一歩手前の副課長級以上を想定しており、1000万円以上といった年収要件を外している。
これに対し厚労省も、この日の競争力会議で一部容認に方針転換。ただし、為替ディーラー、資産運用担当者、経済アナリストなど「世界レベルで通用するような人材」に範囲を限定し、企業の中核部門で働く社員等は裁量労働制の拡充で対応する考えを示した。
4月の長谷川提案以降、安倍首相は「時間ではなく成果で評価される働き方にふさわしい、新たな労働時間制度の仕組み」の検討を関係閣僚に繰り返し指示。水面下で、競争力会議を仕切る官邸・内閣府と厚労省が折衝を重ねた結果、具体的な範囲で隔たりはあるものの、厚労省も「首相の意向にゼロ回答はできない」(霞が関筋)と判断し、限定緩和に舵を切った、ということだ。