東電の火力発電「包括提携」に電力、ガス大手など5社名乗り 大掛かりなエネルギー企業再編につながる可能性も

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LNG調達における規模のメリットが魅力

   東電が包括提携で目指すのは、まずは液化天然ガス(LNG)の調達規模を現状の年間2000万トンから3500万~4000万トンにかさ上げし、規模のメリットを生かして産出国などとの交渉力を高め、調達コストを下げることだ。さらには老朽化した火力発電所の建て替えや、シェールガスの調達強化などを想定している。

   これを受け、名乗りをあげる側にも、LNG調達における規模のメリットは魅力。原発が止まっているのは、東電以外の電力各社も事情は同じで、火力でしのがなければならない以上、燃料費圧縮は共通課題だ。原発は持たないものの、ガス会社も調達規模の拡大は望むところと言えるだろう。

   ただ、火力発電所の建て替えとなると話は少し違ってくる。主要メディアでは、「提携先にとって2016年の電力小売り全面自由化を控え、国内最大の需要地である首都圏での足がかりとなる」などと伝えられている。しかし、包括提携とは何か、燃料調達のみならず電力の「生産」「販売」をどこまで含めたものなのか、について東電の考え方が分からず、関電や中部電からは戸惑いの声も漏れるのだ。

   原発再稼働の見込みが立たない今となっては、電力会社にとって火力発電は自社事業そのもの。それを本当に包括提携するとなれば、もはや経営統合に近い。ガス会社などにとっても、東電と提携することで「福島」の賠償や廃炉などと絡められては経営が揺らぎかねないとの懸念がある。東電は国が過半を出資する国策会社であることも、交渉をやりにくくする可能性がある。

   東電は5社の提案内容を踏まえて各社とやりとりし、今秋にも優先交渉先を決め、年内の提携締結を目指す。その交渉は、「国策」でもあり、行方が注目されている。

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