消費増税の影響で、大手家電量販店の2014年4月の売上高は大きく減少した。それでも、予期していたほど大幅な落ち込みは免れたようだ。土俵際での食い止めに貢献した家電製品のひとつが、単価の高い「4Kテレビ」だ。
今では液晶テレビの「次の世代」として家電量販店の売り場では主役を担う。一方で、後継争いに敗れた形なのが有機ELテレビと言えそうだ。
3Dやネット接続は今や標準装備
東京都心の家電量販店。テレビの販売フロアでまず目に飛び込んでくるのは、大画面の4Kテレビだ。ソニーやパナソニック、東芝といった大手メーカーの主力品が、目立つ場所に設置されている。各社とも55型や65型といった大画面サイズの製品が占める。最新モデルの価格は、ばらつきはあるが、55型が45万円前後、65型になると65万円を超え、画面の大きさに比例して高額になっていく。ただし、1年前に発売されたいわゆる「型落ち」や「現品限り」になると、55型で20万円台も見られた。
記者は複数の量販店に足を運んだが、売り場の主役は4Kで、ほかには液晶テレビが並ぶ程度だ。一時は話題をさらった「3Dテレビ」や、「スマートテレビ」をうたった商品の姿はない。実は3Dやインターネット接続といった機能は、最新の4Kテレビならほぼ標準搭載されているようだ。店員はリモコンを操作してネットに接続し、時には音声検索を使ってウェブサイトを立ち上げる様子を実演してくれた。単体としての3Dテレビは大ヒットしたとは言い難いが、機能自体は4Kテレビに取り込まれる形で生き残ったというわけだ。
まだまだ高価な印象もあるが、売れ行きは好調だという。ある店では、1年前の価格は4Kがフルハイビジョンの2倍だったが、今ではその差が2~3割高程度に落ち着いてきたと明かした。多少割高に感じても、今後10年程度は使い続けると仮定すると、「どうせ買うなら」と4Kを選ぶ消費者が多いそうだ。
4Kは高画質がセールスポイントだが、この点で重なってしまったのが有機ELテレビ。製品化は4Kより早く、ソニーが2007年に発売したのが世界最初となった。だが既に生産は終了しており、後継機種も出ていない。ソニーのウェブサイト上でも、4Kとは対照的に探すのにひと苦労だ。もちろん家電量販店では見当たらなかった。もはや存在そのものが忘れ去られた感すらある。