「セカイに出演させた運営側のミス」
一方で、座った観客を擁護する声もある。セカイはラブソングやマーチなどの明るめの曲はあるものの、名前が示す通り陰鬱とした内容の詩に曲を付けたものが多い。実は演奏開始時はファンでない人も普通に聞いていた。それが一変したのは「銀河街の悪夢」という曲からだという。精神病で悩む男性の話を巡る歌詞があり、コンサートではいつも演奏のバックに過激なアニメーションが流れる。
「あの曲はなんだかなって思ったよ」
「周りがドン引きして座り出してたわ。サヨナラ国立ってイベントなんだし、TPOは考えた方が良かったな」
などといった感想も出ている。
音楽評論家の加藤普さんは今回の論争についてこう見ている。みんなが仲良しで同じ反応をしなければならないというのは非常に幼稚な議論であり、ロックの鑑賞の仕方を全く分かっていない。そもそもロックは社会や人生に対する「反抗」を音楽にしたものであり、バンドによって信念や表現が違ってくるため、好き嫌いがはっきり分かれてくる。
「今回の場合、そもそもファン同士がいがみ合うのは変な話で、明るい未来に突き進もうというコンセプトの中でセカイに出演させた運営側のミスなんです。もちろんセカイが悪いのでもありませんし、開催のコンセプトに合ったバンドを選ぶべきで、ファンは運営側に抗議をすべきなんです」