寄付金の使用目的はサメや海の生態系の研究に限定
市水産課によると、サメ漁については過去に海外の環境団体から「いわれのない批判を受けたことも、なくはない」そうだ。それに比べると、ラッシュジャパンが、気仙沼のサメ漁について正しく理解しており、サイトに明記した点を評価する。
しかし、キャンペーンの売上金が寄付される団体のひとつ「パンジアシード」について、毎日新聞は「反捕鯨団体シー・シェパードの『サメ版』」と書いた。さらに団体代表は同紙の取材に、「気仙沼のサメ漁は海洋環境全般に大きなダメージを与えており、フィニングの有無にかかわらず認められない」と答えたという。記事を読む限り、たとえラッシュジャパンが気仙沼の事情を認識していても、「反サメ漁、反気仙沼」の団体を寄付金で支えることになるのではと不安が残る。市水産課は「(ラッシュジャパンが)本音のところは、こういう(反サメ漁の)目的に近寄っているのでしょうかね」と複雑な心境の様子だ。とは言え「(パンジアシードに)寄付するな、とは言えません」と続けた。
ラッシュジャパンにも話を聞いた。改めて「フィニングには反対するが、気仙沼のサメ漁を否定するものではありません」と明言した。寄付先のパンジアシードについては「サメの保護や海洋保全を手掛ける日本初の団体で、アートや音楽といった活動がメーン」という認識だ。そのうえで、毎日新聞の「サメ版シー・シェパード」という表現に反発。暴力的な手段を用いてでもサメ漁を妨害するような団体ではないとした。
だが気仙沼を巡っては、ラッシュジャパンとパンジアシードの間で見解が異なっている可能性がある。この点、ラッシュジャパンは「キャンペーンで集まった寄付金は、あくまでもパンジアシードが実施するサメや海の生態系の研究に使われるものです」と強調した。使用目的を明確にしており、例えば気仙沼のサメ漁に抗議するための活動資金に投じられることはないという。