韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領をあらゆる言葉で罵倒してきた北朝鮮メディアの論調が、さらに一段階エスカレートしたようだ。北朝鮮は大型旅客船「セウォル号」の沈没事故は、韓国政府の失策が原因だと主張しており、韓国国民の政府に対する抗議活動を積極的に報じている。この怒りの声が高まった結果として、朴大統領が「あの世に行く日は遠くない」と主張しているのだ。
韓国での暗殺を示唆するとも受け取れる表現で、他国の指導者をこのような表現で罵倒するのはきわめて異例だ。
セウォル号事故が起きたのは「独裁者の子孫を誤って大統領に選んだせい」
北朝鮮は、これまでも朴大統領に対しては人格攻撃に近い激しい言葉を浴びせてきた。例えば朝鮮労働党の機関紙、労働新聞が2014年4月1日付で「性格の悪い年を取った処女」と表現したのに続いて、4月27日付の祖国平和統一委員会の談話では、
「妓生(キーセン、芸者)の旦那に身を任せて他人を謀略にかけて害するずる賢い売春婦」
「極悪な事大売国奴、醜悪な米国の慰安婦、汚らわしい民族反逆売春婦」
などとセウォル号の事故後にオバマ大統領訪韓を受け入れたことを非難した。
これらの非難の段階がひとつあがったとみられるのが、朝鮮中央通信が5月27日に配信した論説だ。題して「朴槿恵があの世に行く日は遠くない」。冒頭、
「南朝鮮で起きた旅客船沈没事故は、『維新』独裁者の子孫を誤って大統領に選んだせいで起きた人災だ」
と事故の原因が朴大統領の存在そのものにあると主張。その上で、
「このような殺人政府をそのまま置いておけば、第2、第3のセウォル号の惨事が起こることは火を見るより明らかで、南朝鮮でいつまでも人権不毛の地、生き地獄から逃れることはできないことを確信した各階層の人民は、朴槿恵退陣闘争に乗り出している」
として、韓国の国民が政府に向ける怒りが激しくなっていることを指摘した。