百貨店は取引縮小の意向
そもそも今回の契約打ち切りは、英バーバリー社から持ちかけられた。日本でのラグジュアリー商品市場拡大に期待すると同時に、バーバリーブランドの地位確立を目指したためで、直営店事業を本格化させたい意向が強かった。バーバリー社は今後、2016~17年の2年間で、東京・表参道や大阪に路面店を開き、百貨店の出店も強化する方針で、日本での売上高を3年間で現在の4倍に当たる約1億ポンド(約170億円)超に引き上げたいとの計画も表明している。
これに対し、三陽商会が直面する環境は厳しい。三陽商会はライセンス契約打ち切りの発表と同時に中期経営計画を発表。「ポール・スチュアート」など他のブランドの強化に努め、バーバリーの売り上げがなくなることなどで2016年12月期に850億円まで減少する売上高(2013年12月期比約2割減)を、2018年12月期には1000億円まで回復させるとの目標を掲げた。
しかし、ある老舗百貨店は「バーバリーがなくなれば、三陽商会との取引を縮小せざるを得ない。他の大手百貨店も事情は同じだろう」と話す。三陽商会にとっては、バーバリーの穴をいかに埋めることができるか、経営の正念場を迎えることになる。