KADOKAWAとドワンゴは「一卵性双生児」? 統合で「映像コンテンツ」の海外配信強化を狙う

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   「角川書店」で知られるKADOKAWAと、「ニコニコ動画」を運営するドワンゴが経営統合することを決めた。出版と新興IT企業という新旧メディアの統合は、双方の強みを生かして最終的には海外向けにコンテンツ配信にも乗り出す。

   両社は2014年10月1日に持ち株会社「KADOKAWA・DWANGO」を設立し、その傘下に両社が子会社として入る形での統合となる。新会社の社長はKADOKAWAの佐藤辰男相談役、会長にはドワンゴの川上量生会長がそれぞれ就任し、KADOKAWAの「顔」ともいうべき角川歴彦会長は新会社の相談役に就くという。

事業の重複は多くない

新会社会長は川上量生氏(14年4月撮影)
新会社会長は川上量生氏(14年4月撮影)

   両社は東証1部に上場しているが9月26日に上場廃止となり、新会社が10月1日に上場する。KADOKAWA株1株に対し新会社の株式1.168株を、ドワンゴ株1株に対し1株をそれぞれ割り当てるという。

   両社は5月14日に東京都内で記者会見して統合を発表したが、角川会長が「21世紀の新しいメディアを作りたい」と意気込みを語ったように、統合が両社にもたらすメリットは小さくない。

   ネット参入やコンテンツのデジタル化を急ぎたいKADOKAWAはドワンゴのネット配信サービスとそのノウハウを活用できるようになる。一方のドワンゴにとってもKADOKAWAの映画やゲーム、アニメなど豊富なコンテンツを確保できるのは魅力だ。事業の重複がそれほど多くない。相乗効果が期待できるというわけだ。さらに川上会長は「顧客などを囲い込むのではなく、オープンな統合を目指す」と強調し、統合で内向きになるのでなく、他社との今後の連携も否定しなかった。

「日の丸プラットホームをつくる」

   ネット時代の到来でメディアは優良コンテンツを抱えるだけでは競争に勝てなくなりつつあり、配信サービスなど新たなプラットホーム構築の必要性は増すばかりだ。両社は2011年から資本提携し、KADOKAWAがドワンゴ株12.2%、ドワンゴはKADOKAWA株2.7%を保有するなど統合への下地は醸成されてきたが、こうした競争環境の目まぐるしい変化を受けて両社は「補完しあえる」(角川会長)と統合を決断した。

   この統合が見据える最大の狙いは映像コンテンツの海外配信だ。角川会長は「日の丸プラットホームを作っていく」と述べ、国内市場の縮小が続く中でグローバル市場に活路を見いだす考えを示した。しかし、世界には米グーグルやアマゾンのような「巨人」が先行しており、両社が厳しいグローバル競争に対応できるかは見通せない。

   新旧メディアの統合を巡っては、2005年に楽天がTBSに統合を申し入れたがTBS側の反発で実現しなかったケースなどがある。国外でも成功するケースは多くないのが実情だ。業界からは「企業文化、風土がかけ離れており、本当にうまくいくのか疑問だ」との声も漏れてくる。角川会長は「敵対的なのは大概だめになる。KADOKAWAとドワンゴは異質な会社と思われているが、実は一卵性双生児だった」と説明し、今回の決断に自信を示したが、果たして成否は?

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