2014年5月25日に岩手県滝沢市で開かれたアイドルグループ「AKB48」の握手会で痛ましい傷害事件が起き、ファンの間で動揺が広がっている。
事件当日は情報が錯綜していたこともあり、インターネット上では悪質な「デマ」が拡散する騒ぎもあった。
別事件の容疑者、ネタ画像などだった
「本当の犯人こいつだって!」
「ちょ、AKBのやつ 犯人これらしい笑」
「AKBの川栄李奈を刺した犯人特定した」
事件が報道され始めてから間もなくして、ツイッター上では「犯人」とする画像が拡散し始めた。顔写真が報じられる前だったために関心を集めたが、写っていたのはいずれも全く関係のない人物だった。
たとえばメガネをかけた青年の画像は、母親殺害の容疑で2013年逮捕された札幌市の男のものだ。また、上下グレーのスエットを着た中年男性の画像は、ズボンの股間部分が濡れていることから「ネタ画像」として使われることもしばしばあるもので、周囲の張り紙に書かれたハングル文字から日本で撮影したものでないことも分かる。さらに「犯人の連行写真」として出回ったものは、実際は今年5月に中国・広州駅前で起きた無差別襲撃事件の1枚だった。
グーグル画像検索などで確認すればすぐに偽物だと分かるものばかりだが、信じてしまう人も少なくなかったようだ。
不自然な「父親」、3万回リツイート
「犯人の父親」を名乗る人物のツイートも注目を集めた。25日18時ごろ、「唐澤洋 公認会計士事務所」というアカウントが「息子の付き添いでAKB握手会に来たら刃物男が出没した 息子の姿がしばらく見えんがあいつは無事かのぉ」というツイートを投稿。その約20分後には、
「悲しいことにどうやら息子がAKBの川栄を刺したようだ。 これから警察に行って事情聴取を受けなければならん。 関係者の皆様、ファンの方々、息子がお騒がせして申し訳ない。 父親としてできる限りの責任は取るつもりだ」
とツイートした。26日13時時点で3万3000件近くリツイートされ話題となっているが、ネットでは早くも「釣り」認定を受けている。
「唐澤洋」を名乗るツイッターアカウントには、以前から2ちゃん民に注目されている弁護士「唐澤貴洋」の所属する恒心綜合法律事務所のリンクが貼られている。サイトをみてみると、唐澤洋氏の名前は顧問の欄の「公認会計士唐澤洋事務所」で見つけることができるが、AKBに関するツイートの後には事務所の宣伝ツイートを複数回投稿するなど、不自然な点が目立つ。ネット上ではそもそもアカウント自体が偽物ともみられている。