エベレストに挑戦するバイタリティー
ただし、利回り低下の他にも、大きな悩みがある。日本の国債は、言わば我々の預貯金など家計の金融資産で賄われているわけだが、国債を含む政府の債務残高が家計の金融資産残高に近づいているのだ。日銀によると、2013年12月末の家計の金融資産残高は1645兆円と過去最高を更新した。ここから住宅ローンなど家計の負債(358兆円)を引いた実質的な金融資産残高は1287兆円。国債を含む政府の債務残高は1024兆円と、実質的な金融資産残高に近づいており、このままではいずれ日本国内で国債を消化できなくなる可能性がある。
その場合、日本は海外の投資家に国債を買ってもらうことになるが、これは外国人から借金をして、利子を付けて返すことになり、日本の富が国外に流出することを意味する。なにより、買ってもらえる保証もなく、買ってもらうために利回りを高くする必要があるかもしれない。
いずれにせよ、「珍獣ハンター」として世界を駆け回り、マナスルやエベレストに挑戦するバイタリティーにあふれたイモトさん起用の話題性は高い。財務省としても、国債についてのチャレンジングな姿勢を訴えたいということかもしれない。実際に国債を買わなくとも、国民の間で国債への関心が高まり、日本の財政について少しでも考える機会が増えるのはいいことに違いない。