個人投資家の保有比率は2%台
それには理由がある。国に必要な財源を確保するため、財務省は国債を発行しなくてはいけないが、国債を買ってくれるのは銀行など金融機関ばかりで、個人向けの国債は思うように売れないからだ。アベノミクスの「一本目の矢」である異次元の金融緩和で国債も利回りが低下。金融商品としての魅力は薄れている。日本の国債は日銀、銀行、生損保の保有割合が多く、これら金融機関だけで約8割を占める。私たちが銀行に預けた預金や生損保に払った保険料は、金融機関を通じて企業の貸し出しに回るよりも、多くが国債の購入に当てられているわけだ。
財務省は「銀行など金融機関の保有割合が高いと、市況が変化した場合に取引が一方向に流れがちになる。長期安定的な投資家である銀行や保険など金融機関と投資行動が異なる個人や海外投資家に国債を保有してもらいたい」と、本音を語る。個人投資家の国債の保有割合は2.6%、海外投資家は3.9%に過ぎず、この二つを増やすのが財務省の戦略だ。