調書非公開の正当性を強調する狙い
菅義偉官房長官は同日夕方の会見で、「会見では申し上げてきたが、なかなかその(上申書の)意図が伝わっていなかった」と話しており、上申書の公開を通じて、調書を非公開にしていることの正当性を強調する狙いがある。上申書は内閣官房のウェブサイトで公開されている。
吉田調書をめぐっては、朝日新聞が5月19日に特設サイト「『吉田調書』福島原発事故、吉田昌郎所長が語ったもの」を立ち上げ、同社が入手したとする吉田調書の内容を根拠に5月20日朝刊から連日1面で調査報道を続けている。
朝日記事によると、ヒヤリングは11年7月22日から11月6日にかけて計13回、時間にして29時間16分(休憩時間1時間8分を含む)をかけて行われた。吉田氏は初回のヒヤリングで、話した内容が公にされる可能性を通告され「結構でございます」と述べたとされる。朝日新聞は「吉田調書」を公開すべきだと主張しており、その根拠のひとつが、この吉田氏の発言だ。上申書が提出されたのは、この発言の10か月後だ。