スマートフォンはますます高機能で使いやすくなってきた一方で、バッテリーの持ちには依然として注意が必要だ。スペックとして公表されているバッテリー容量だけでは本当に長時間利用できるか判別が難しく、端末購入後に不満を口にする人は少なくない。
調査会社が公表したスマートフォンの利用動向調査で、充電回数が機種ごとに大幅に違う結果が出てネットで話題となっている。
「どんなスマホだよww」
ニールセンは2014年5月19日、スマートフォンの利用状況分析レポートの提供を開始するとともに、測定した一部データを公開した。調査協力モニターのスマホに搭載したメーターでユーザーの動作をリアルタイムに調べ、バッテリー、接続回線、CPU、メモリーなどの利用状況をキャリアや端末機種別に調査した。
2月分のデータによると「全部入りスマホ」として発売された富士通「Arrows X」シリーズの利用者の69%が1日5回以上充電していた。サムスン電子の「Galaxy S III」とソニーの「Xperia A」のユーザーがそれぞれ28%、24%であるのと比べると、「Arrows X」の充電回数は際立って多い。各機種ともかなりの充電回数となっているが、どんな使用状況だったのかは明らかにされていない。なお充電回数とは、電源に接続された回数を意味する。
これが報じられると2ちゃんねるでは、
「どんなスマホだよww」「これはワロタ もうモバイル用じゃないなw」 「1日5回も充電してると半年ぐらいで電池の蓄電能力が半分ぐらいになるぞ」
などと書き込まれた。
その一方で
「せめて発売時期やバッテリー劣化状況は揃えないと」
「古い機種持ち出して比較とか酷いネガキャン。F-06E以降まともだぜ?」
「Xも同世代の奴と比較すると、そこまで酷くない」
と擁護する意見も少なくない。
「Arrows X」シリーズは複数機種あるが、同社レポートでは「Arrows X」とまとめられ、いずれの機種が何割を占めるのかは公開していない。「F-05D」は11年12月、「F-10D」が12年7月、「F-02E」に13年2月に発売されたもので、古い機種ほどスペックが劣りユーザーの使用期間も長いと考えられる。ちなみに「Galaxy S III」は12年6月、「Xperia A」は13年5月から販売されている。
富士通「この結果を今出されても……」
ニールセンの調査結果について富士通の広報担当者は、「『Arrows X』を発売したのはスマートフォンが初期のころで、各社もそうだと思いますが、電池持ちに課題があったのは事実」と認めつつも、「『Arrows X』はシリーズでひとくくりにされているので、Galaxy S IIIやXperia Aとの比較は難しいと思います」と話す。「新しい機種が出ているのに初期のころだけで見られているのでは。この結果を今出されても……」と困惑した様子だった。
富士通では新しい端末については、電池持ちを優先的に改善してきたという。例えば5月末に発売予定の「ARROWS NX F-05F」の場合、「普通に使って『余裕の3日持ち』が実現しました」と担当者は自信を見せた。
「バッテリーを大きいものに変更しただけではありません。アプリごとに消費電力にばらつきがあるのですが、パフォーマンスを落とさずにCPUの動作を最適化しました。またヒューマンセントリックエンジンという専用のLSIを入れ、利用状況をリアルタイムに把握して省電力を徹底サポートしています」
他にも細かな部品のチューニングなど地道な努力によって、「不満の一つであった電池持ちは改善してきたのでは」と言っていた。