近畿大学(大阪府東大阪市)が、これまで「KINKI UNIVERSITY」としていた英語表記を2016年4月から「KINDAI UNIVERSITY」に変更すると発表した。「KINKI」を英語で発音した場合、「『KINKY』(風変わり)と聞こえる場合がある」として、以前から変更を検討していたという。
ところでこの「KINKY(キンキー)」という英単語、知らないという人も多いのではないだろうか。日本ではあまり聞きなれないものだが、どうやら英語圏の人々にはかなりの「エッチな用語」として認識されているようだ。
ピーナツバター、ローソク、ホイップクリーム…
試しに複数の辞書で「KINKY」と引いてみると、近大の説明する「風変わりな」との意味に加え、「(性的に)異常な、変態の」「性的に倒錯した」といった説明が見つかる。ある英英辞典には、スラングとして「marked by unconventional sexual preferences or behavior, as fetishism, sadomasochism, or the like(フェティシズムやサドマゾヒズムなど、型にはまらない性的嗜好や性行動を表す)」という、より具体的な説明があった。
実際に英語圏で暮らしていた日本人にイメージを聞いてみると、
「『エロ』の中でも相当どぎつい表現という気がしますね。『変態』というとまだ冗談の範囲で使われる気もしますが、kinkyだとちょっとシャレにならないというか、マニアックなエロというか…」(米在住歴のある会社員)
「個人的にはあまり聞いたことはないですが、ピーナッツバターを使ったり、ローソクを使ったりする性行為を『kinky sex』と言うと教えてもらったことがあります」(米留学経験のある男性)
と苦笑した。
「もともとは『アブノーマルな性行為』という意味で、ホイップクリームを使ったり、フルーツをつかったり…その手のタイプの人間にはたまらないだろうね。 だけど普段はジョークとして使われるケースがほとんどで、本来の意味で使われことはあまりないよ」と説明するのは、あるアメリカ人男性(25)だ。
具体的な使用シーンについて尋ねると、
「たとえば、女性の発言を男性が勝手に性的なジョークとして捉えて、あげ足をとるような時に使うよ。『あなたの剥いたバナナが食べたいわ』と言った女性に、男性が「wow! That's kinky! Hahaha!」と返すようにね」
と丁寧に解説してくれた。
海外が注目する「KINKI」Tシャツも変更に
こうした刺激的なメージからか、近大の学生や教員が海外で自己紹介すると、笑われたり、驚かれたりすることもしばしばあったようだ。塩崎均学長も20日の記者会見の中で「海外の会合で自己紹介すると笑われることがある。近畿は地域名として由緒ある言葉だが、国際化を本気で進めるためには、英語表記の変更は仕方ない」と話したと報じられている。
「近畿」とはもともと、古代律令制における広域行政区画「畿内」に由来する語で「都(=畿)とその近隣地域」という語義を持つ由緒ある語句だという。近大は16年4月に外国語・国際系学部(名称未定)の開設を予定しており、留学生の募集を拡大し、国際化を進める中で「変態大学」「異常趣味大学」と誤解されてしまうことを本格的に危惧したようだ。
変更後は、英語版ホームページはもちろん、看板や印刷物、学生への配布物、体育会系クラブのユニホームなど、「KINKI」と書かれたものはすべて「KINDAI」に更新されるという。過去には、大学で販売されている「KINKI」と書かれたTシャツが海外で注目されているというニュースもあったが、広報担当者によると「Tシャツも変更します」とのこと。2年後には姿を消すことになるようだ。