労働新聞にはスピーチ原稿も載る
朝鮮中央テレビが2014年5月16日、第9回全国芸術家大会(全国芸能人大会)の様子を放送し、その中に玄氏が映っていたからだ。映像では、「牡丹峰楽団団長・玄松月」というナレーションが入っている。玄氏は軍服姿で
「牡丹峰楽団の創作家、芸術家はどこに出ても、敬愛する元帥様を敬うことにかけては誰にも負けないと断言したい」
「元帥様が最も愛する我が軍隊と人民のために、芸術創作創造の炎をより一層激しく燃え上がらせたい」
などと正恩氏に対する忠誠を誓った。
翌5月17日付けの朝鮮労働党機関紙「労働新聞」には、「新時代の音楽芸術革命の旗を高く掲げていく」と題した玄氏のスピーチ原稿も掲載されるという異例の扱いだ。
玄氏がかつて所属していた普天堡電子楽団は、正日氏が1985年に立ち上げたのに対して、牡丹峰楽団は正恩氏の指示で12年7月にスタート。デビュー公演ではロッキーのテーマが披露されたり、ミッキーもどきの着ぐるみも登場するなど、奇抜な演出が世界を驚かせた。この牡丹峰楽団の団長に抜擢されたということは、正恩氏が玄氏を重用していることを裏付けていると言えそうだ。