指示は「第2原発も視野に入れて退避せよ」という内容だった?
仮にこのヒヤリングの内容が事実であれば、原子炉が危機的状況にあるときに、事故責任者の指示に反する形で所員の9割が持ち場を離れ、10キロも離れた場所に退避したことになる。ただ、この内容を検証するためには、いくつかのハードルがありそうだ。
ひとつが、吉田氏と東電の言い分と食い違っていることだ。
東京電力の広報部によると、朝日新聞から問い合わせがあった後に、福島第1原発所員や関係者にヒヤリングをしている。ヒヤリングによると、吉田所長の指示は
「第2原発も視野に入れて退避せよ」
という内容だったという。そのため、東電は
「GM(管理職にあたるグループマネージャー)を含めて、第2原発への退避は指示に違反している訳ではない」
と反論している。検証のためには、第3者が所員にヒヤリングを行う必要がありそうだ。